夏休みに入り、通称「撮り鉄」と呼ばれる鉄道写真ファンの行動範囲も広がる時期だ。県内では、熊本-人吉間を走るJR九州の蒸気機関車「SL人吉」が大人気。だが、4月には線路に入った男が列車を緊急停止させる騒ぎが起きており、県警はマナー向上を呼び掛けている。
夏休みに入り、大勢の家族連れらが利用するSL人吉。煙を上げながら球磨川沿いを走る姿は「撮り鉄」に人気だ=24日、JR熊本駅
県警鉄道警察隊によると、SL人吉の緊急停止は4月26日、JR肥薩線の那良口駅(球磨村)で起きた。カメラを構えた50代くらいの男が線路内に立っているのを、SL人吉の機関士が発見。駅の200メートル手前から緊急ブレーキをかけ、汽笛を鳴らした末、男ははねられる寸前に軌道外に出た。
機関士はその場で、男の氏名と連絡先を聞き取ったが、いずれもうそだったため、人物の特定はできなかったという。
毎年3~11月に運行するSL人吉の撮影ポイントでは、撮り鉄の違反行為が後を立たない。特に桜の開花時期や11月の走り納めになると、球磨川沿いに全国から撮り鉄が押し寄せ、小競り合いもしばしばという。
こうした現状について、キャリア40年の男性(61)=菊陽町=は「列車の運行や住民に迷惑がかからないようにするのが原則。経験の浅いカメラマンは迫力のある写真を撮ろうと、列車に近づいてしまう。マナーが悪い時は注意し合うようにしている」と話す。
鉄警隊は、トンネルや鉄橋などへの侵入など悪質な違反の場合、鉄道営業法違反での摘発も辞さない構えで、「列車を愛しているのであればマナーを守ってほしい」と節度ある行動を求めている。(久保田尚之)
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