最高裁:求刑超え判決破棄 裁判員経験者の意見は分かれ

毎日新聞 2014年07月24日 23時52分(最終更新 07月24日 23時57分)

 裁判員裁判の判決は、6人の裁判員と3人の裁判官が評議で話し合って決める。意見が一致しない場合は採決して結論を決める。ただし、有罪と決めるなど被告に不利な判断をする場合は、裁判官が1人は賛成する必要がある。量刑を採決で決める場合は最も重い刑を主張した人から順番に数え、過半数に至った人が主張した刑が結論となるが、この際も裁判官が1人は含まれている必要がある。

 例えば懲役20年に裁判員3人、懲役16年に裁判員2人、懲役15年に裁判官2人、懲役12年に双方が1人ずつ賛成したと仮定する。このケースでは「懲役16年以上」が過半数を占めているが、裁判官が含まれていないため結論には至らず、裁判官の意見の中で最も重い懲役15年が実際の刑となる。今回の1審でも最低1人の裁判官が懲役15年以上の刑に賛成していたことになる。

 ◇十分な情報提供で評議、適切な結論導かれるとの判断

 量刑問題に詳しい元東京高裁部総括判事の原田国男弁護士の話 最高裁は事件の実態に即した妥当な量刑判断を示した。今回の判決は、検察側の求刑を超える量刑判断自体を否定しているわけではなく、裁判官が裁判員に十分な情報を提供して評議を尽くせば、適切な結論は自然に導かれるとの判断を示したものと言えるだろう。

 ◇先例重視に傾きすぎれば制度の趣旨が損なわれる

 裁判員制度の設計に携わった四宮啓・国学院大法科大学院教授の話 公平性を強調するあまり、先例重視に傾きすぎれば制度の趣旨が損なわれる。量刑傾向を知ることは評議の出発点にすぎず、傾向に従うことがゴールになってはならない。裁判官の説明は慎重でなければならず、裁判員の自由な意見表明を促す努力が必要だ。

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