「The Economist」

他人の自殺を助けても罪に問われない国がある

子供を対象にした自殺幇助も認めるべき?

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2014年7月25日(金)

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 進行性の卵巣癌と2011年に診断されたジョー・ビーチャム氏は、自宅の冷蔵庫に毒薬を保管している。病気が進み、体内に水が溜まり始めたら服用できるようにだ。「助けを得られるのはうれしい」と彼女は言う。だが自分のために誰かが法を破ることは望んでいない。起訴される例は極めて稀なものの、同氏が住む英国では自殺を幇助することは禁じられている。

 英国の貴族院で現在審議中の法案が通れば、こうした葛藤は緩和されることになろう。この法案は、2人の医師が診察し、余命が半年を切ると判断された患者について、医師が自殺を幇助するのを合法化するものだ。ただし、患者は致死的薬物を自分で服用する。

 英国議会は過去にも法改正を試みたが失敗している。だが今回の法案は可決される見込みが高い。英国のデビッド・キャメロン首相はこの法案に反対しながらも、議員たちは自らの善悪の判断に基づいて投票するであろうと述べている。

 西欧諸国の世論は自殺幇助の合法化を圧倒的に支持している。だが各国政府の腰は重い。英国の法案が可決されたとしても、自殺幇助を(条件付きででも)許す国の数はいまだに少ない。

自殺幇助を認める国々

 スイスでは、病人や在住者でない大人が自殺する時も、その幇助を認める。オランダでは、症状が緩和する見込みがなく、耐えられないほどの痛みに苦しむ大人及び12歳超の子供に対して、自殺幇助を許している。

 2月にはベルギーの議会が法律の適用範囲を拡大し、治療の施しようがなく死期の近いすべての子供を対象にした。ルクセンブルク及び米国の5つの州では末期患者に対する自殺幇助を許可している。スイスを除くほとんどの国や州では、自殺の手順について医師の承認が必要だ。


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