オスプレイ:佐賀空港へ配備方針、地元は驚きと困惑

毎日新聞 2014年07月22日 20時27分(最終更新 07月23日 09時41分)

オスプレイの佐賀空港配備に反対する横断幕を掲げる人たち=佐賀県庁前で2014年7月22日午前8時21分、野田武撮影
オスプレイの佐賀空港配備に反対する横断幕を掲げる人たち=佐賀県庁前で2014年7月22日午前8時21分、野田武撮影
佐賀空港周辺の地図
佐賀空港周辺の地図

 格安航空会社(LCC)の拠点空港として地元の期待が高まっていた佐賀市の佐賀空港に、武田良太副防衛相は陸上自衛隊に導入予定の垂直離着陸輸送機オスプレイを配備する方針を佐賀県に提示した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備の米軍オスプレイの暫定移駐案も浮上したほか、防衛省は南西諸島防衛強化のために長崎県佐世保市に創設する「水陸機動団」の輸送手段として運用する方針で、西九州はオスプレイの一大拠点になる可能性がある。【石井尚、下原知広、関東晋慈】

 「LCC拠点空港としての可能性への期待を裏切ってはいけない」。22日朝、佐賀県庁。オスプレイ配備方針を伝えた武田良太副防衛相に、古川康知事は言った。

 佐賀空港は1998年7月、東京、大阪、名古屋に1日計5往復が就航する形で開港。その後大阪、名古屋便は運休したが、東京便は増便され、2012年に中国LCC・春秋航空が上海便を、13年には韓国LCC・ティーウェイ航空がソウル便を就航。昨年度の搭乗者数は過去最高の約37万人に達した。「利用者が増えている全国的にも珍しい空港。九州、アジア、LCCの拠点空港として大きな役割を担っていきたい」。古川知事は武田副防衛相にくぎを刺した。

 佐賀県庁前では副防衛相と知事の会談が始まる1時間ほど前の午前8時ごろから、市民団体のメンバーが80人以上集まり「オスプレイは来るな」「副大臣は来るな」と抗議の声を上げた。

 武田副防衛相から配備の説明を受けた佐賀県有明海漁協(佐賀市)の徳永重昭組合長(66)は「万が一の事故や県民感情を考えれば反対せざるを得ない」と述べた。

 佐賀空港周辺住民からは不安の声が漏れた。空港から約5キロの佐賀市立南川副小の近くの公園で子供3人を遊ばせていた佐賀市川副町の女性看護師(32)は「オスプレイは墜落したこともあると聞いている。この町の上空を飛ぶかもしれないと考えると怖いし、オスプレイは沖縄のことで人ごとだと思っていた」と話した。

 空港西側の農地で大豆の作付けをしていた川副町の男性(69)は「戦争が起きた時に空港や橋などが標的にされる。そうした時に被害が降りかかってくるのではないか」と話した。

 オスプレイ配備に関係する自治体には、驚きと困惑が広がった。

最新写真特集