ガザ:避難民14万人…過去最大規模、国連施設足りず
毎日新聞 2014年07月24日 21時49分(最終更新 07月24日 23時29分)
【エルサレム大治朋子】イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を拠点とするイスラム原理主義組織ハマスは24日も境界付近全域で激しい戦闘を続けた。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はガザにある83施設を開放、14万人を受け入れたがどこもほぼ満員状態。行き場を失った住民数千人はガザ市内のキリスト教の教会にも避難している。
8日からの戦闘でガザでは734人が死亡、イスラエル側は兵士32人を含む35人が死亡した。UNRWAが受け入れた難民は14万人を超え、2008年12月から23日間続いた双方の戦闘に伴う避難民(約10万人)の規模を大きく上回り、過去最大規模に達している。
「近くに落ちた爆弾の衝撃で家が崩れそうになり飛び出した」。イスラエル軍が爆撃を続ける北東部シュジャイヤ地区に住むヘバ・ヘロさん(42)は23日、現地の毎日新聞助手の取材にそう語った。
夫と8人の子供との10人暮らし。避難すべきか迷いながらも自宅にとどまってきた。23日午前3時ごろ、近くの爆撃で家が大きく揺れ、子供たちを抱えて飛び出した。「大切なものをいっぱい残してきてしまった。娘のウエディングドレスを買うためのお祝い金まで」。ヘバさんはそう言って涙ぐんだ。
爆撃の中を走り抜け、約1・5キロ離れたガザ市内のUNRWAの避難所にようやくたどり着いたが「いっぱいで受け入れられない」と断られた。行くあてもなく歩いていると、ギリシャ正教会の教会が見えた。中に入ると「食べ物も水もありますよ」とボランティアが温かく迎えてくれた。
ヘバさんたちは現在、イスラム教のラマダン(断食月)中で、食事は午前3時と午後8時にしか取れない。教会はそれに合わせて食料を配っている。教会に滞在する市民はすでに1000人以上。生後1週間の赤ちゃんもいる。近くでもイスラエル軍の爆弾が破裂。金属片などが教会の庭に飛び散った。
教会関係者によると、このほかガザ市内のローマ・カトリック教会やプロテスタントの教会などが避難民を収容している。近くのイスラム教徒のパン屋から寄付を受けるなどして対応しているが、それも限界があり「いつまで対応できるか分からない」という。