焦点:人手不足が招く生産現場の「消耗戦」、部品供給に遅延リスク
[豊田市 24日 ロイター] - 急速に広がる労働力不足にどう対応するか。頭を痛めているのは、建設業やデフレ適応型ビジネスばかりではない。賃金水準が比較的高い自動車産業でも、大手から下請けまで、生産現場では人員補充ができないまま長時間労働の「消耗戦」が続く。
人口減少で国内市場の縮小が予想される中、一時的な増員策をとることも難しく、結果的に部品供給の遅れなどが表面化する可能性も懸念されている。
<長時間労働に「ついていけるだろうか」>
「人が足りなさ過ぎる」。この春、愛知県内の高校を卒業し、豊田市内のトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)系2次下請け部品会社に正社員として就職した酒井拓哉さん(仮名、18)は、あまりの労働時間の長さに驚く毎日だ。
始業の午前7時50分の10分前には会社に到着、金型の修理・保全チームの一員として毎晩午後11時近くまで仕事をする。週休2日のはずが、実際は毎週土曜も出勤。彼女とデートする時間すらもない。
これまで8人で回していた職場は「ぎりぎりの状態」だったが、6月末には大卒の同僚が中途採用から3カ月で退社した。だが、人件費を増やせず補充の採用はできない。先輩熟練工は徹夜で働く日も多い。
「おじいちゃんになるまで、この仕事は続けたい」と話す車好きの酒井さん。しかし、週末も十分に休めない勤務の実態に、「労働時間がこれ以上長くなったら、ついていけるだろうか」との不安も口をつく。
<採用コストは確実に上昇> 続く...