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【社会】

裁判員の厳罰判決破棄 最高裁初判断 求刑1.5倍「不当」

 一歳八カ月の三女を虐待死させたとして傷害致死の罪に問われ、裁判員裁判で検察側求刑の一・五倍となる懲役十五年の判決を受けた両親の上告審判決で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は二十四日、「甚だしく不当な量刑だ」として一審判決とこれを支持した二審判決を破棄し、父親の岸本憲(あきら)被告(31)に懲役十年、母親の美杏(みき)被告(32)に懲役八年を言い渡した。 

 裁判員裁判の結論を最高裁が判決で見直したのは初めて。「裁判員裁判で過去の量刑傾向に従う必要まではないが、大まかな傾向を踏まえ、他の判決と公平性を保たなければならない」との初判断を示した。裁判官五人全員一致の意見。

 最高裁によると、裁判員裁判で求刑超え判決を受けた被告は、五月末までで四十九人だった。

 判決理由で小法廷は「一審判決は社会情勢などを量刑に強く反映させたが、具体的で説得力のある根拠が示されていない。これを合理的な理由なく認めた二審判決も、破棄しなければ著しく正義に反する」と指摘。憲被告と、暴力を直接振るっていない美杏被告で量刑に差をつけた。

 裁判官出身の白木裁判長は補足意見で「同種事件の量刑傾向を考慮に入れなければ、評議は直感による意見交換となってしまう。裁判官は裁判員に重要な事柄を十分に説明し、正しい理解を得た上で評議を進めるべきだ」とした。

 判決によると、両被告は共謀して二〇一〇年一月、大阪府寝屋川市の自宅で三女瑠奈(るな)ちゃんの顔を平手で殴り頭を床に打ち付け、同三月に死亡させた。

 一審大阪地裁は一二年三月、「殺人罪に近い事案」として、検察側の懲役十年の求刑を上回る懲役十五年を言い渡した。

 昨年四月の二審大阪高裁判決も両被告の控訴を棄却。両被告は無罪を主張し上告した。

 白木裁判長以外の小法廷の裁判官は、桜井龍子(行政官出身)、金築誠志(裁判官出身)、横田尤孝(ともゆき)(検察官出身)、山浦善樹(弁護士出身)の各氏。

 

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