舜臣を題材にした韓国映画「鳴梁」の一コマ CJ Entertainment

 韓国のキム・ハンミン監督は2011年、17世紀の中国からの侵略者と戦う朝鮮戦士を描いた映画を制作し、同年で国内最大の興行収入を稼ぎ出した。監督が次の時代劇の題材として狙いを定めたのが海からの侵略を狙う日本との戦いで、韓国で反日感情が高まる中、再び成功を収めそうだ。

 韓国で来週公開される「鳴梁(ミョンリャン)」は、韓国で最も有名な李舜臣率いる1597年の海戦を描写している。この戦いでは自軍を大幅に上回る船団を率いた日本軍を李舜臣が打ち破った(日本では豊臣秀吉の「文禄・慶長の役」で知られる)。李舜臣は韓国で最も偉大な将軍として知られ、ソウル中心街の大通りには将軍の銅像がそびえ立つ。

 李舜臣を演じるのは国際的にも知名度の高いチェ・ミンシク氏。同氏は03年に公開されたミステリー映画「オールドボーイ」(パク・チャヌク監督)で主役を務めたことで有名だ。

 豪華な顔ぶれの役者とコンピューター・グラフィックス(CG)を駆使した戦闘シーンが恐らく最大の目玉となるが、歴史問題をめぐる日韓関係の悪化も映画の追い風になる可能性がある。世論調査では、日韓双方で相手側の印象が悪化している。

 キム監督は試写会で、映画の政治的意味合いを否定し、李舜臣は日本人でさえも敬意を抱くような普遍的に尊敬される歴史上の人物だと述べた。

 監督は「この映画が日本でも公開され、彼ら(日本人)が知らなかった歴史について学ぶ機会になればと願う。これがお互いをより深く知る機会になることを期待する」と述べた。監督はこの映画の脚本も手掛けている。

 一方、チェ氏の映画の解釈は監督ほど外交辞令的ではない。

 チェ氏は「この映画は真実を語っている。指導者の誤った選択がいかに無益で残酷な人の死をもたらしうるかを示している」と述べた。ここには現在の日本の指導者に対する攻撃が見え隠れしている。

関連記事