THIS WEEK 週刊文春 掲載記事

「尖閣は固有の領土ではない」
放言いまだ健在の鳩山由紀夫

友紀夫に改名と宣言したことも

 7月16日夜、都内で開かれた新右翼団体「一水会」の会合に意外な人物が登場した。鳩山由紀夫元首相である。

「呼んだのは一水会の代表・木村三浩氏。猪瀬直樹前東京都知事と徳洲会をつなぎ、5000万円の授受を仲介した人物です。昨年、鳩山氏が『日本が尖閣諸島を盗んだと思われても仕方がない』と発言した際は、事務所を訪れ真意を質したそうです」(全国紙記者)

 会の冒頭、木村氏は鳩山氏を招いた理由を「対米自立という考えは共通している」と説明。鳩山氏は、約100人の参加者を前にして、民主党代表時代に掲げていた「東アジア共同体」をテーマに約2時間にわたって講演した。その中身は、いつもの鳩山節。

「2020年までにCO2排出量25パーセント削減は本当にできるのか。総理時代に言ってしまったので『できない』とは言えない」

「地球環境が悪くなって大変な時に日本と中国が争ってどうするのか。北京の空を青空にするぐらいのことを日本の技術でやれば感謝され、効果がある」

 物議を醸した尖閣諸島については、こう語った。

「尖閣は日本固有の領土ではない。ただ、一度も中国の領土だと言ったことはない。お互いにアンタッチャブルの状態にしておいた方がいい」

 奇しくも同じ日、民主党の海江田万里代表は中国・北京を訪問中。同行した民主党議員は出発前、鳩山氏の講演を知るとこうため息をついた。

「滋賀県知事選で民主党前衆院議員が勝利して反転攻勢をかけようとしている時に、辞めた人間が余計な発言をしないでほしい」

 しかし、習近平国家主席との会談を望んでいた海江田一行を現地で迎えたのは、中国共産党の序列5位の人物。6月に訪中した社民党よりも格下の待遇となってしまった。

 当の鳩山氏は、民主議員の懸念などどこ吹く風。18日には、都内で開かれた講演会に顔を出した。主催したのは小泉純一郎、細川護熙両元首相が設立した「自然エネルギー推進会議」。菅直人元首相と共に「サポーター」年会費1万円を支払って一般参加者として来場したのだ。4人の元首相がそろい踏みとあって、久しぶりに報道陣を賑わせた。

 昨年2月に母・安子さんが亡くなり、莫大な資産と文京区音羽にある鳩山会館を相続し、館長におさまった鳩山氏。政界は引退したが、まだまだ成仏してはいないようだ。

「週刊文春」編集部

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2014年7月31日号
2014年7月31日号
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2014年7月24日 発売 / 定価400円(税込)
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