日本エネルギー経済研究所は24日、2015年度までの日本の経済・エネルギー需給見通しを発表した。原子力規制委員会に安全審査を申請した原子力発電所19基が全て再稼働する場合を試算。火力発電用の液化天然ガス(LNG)の輸入が減り、実質国内総生産(GDP)を年間で8千億円押し上げる効果があるとした。
東日本大震災後の原発稼働停止に伴う火力代替でLNG需要が大幅に増えている。14年度の輸入量は8930万トンと過去最高を更新する見通し。同研究所は14年度中に川内原発(鹿児島県)などの7基、15年度末までに19基が再稼働するケースを想定し、15年度のLNG輸入量は8020万トンに減ると予測した。
再稼働する原発が半分の9基の場合、15年度のLNGの輸入量は8880万トンと微減にとどまり、実質GDPの押し上げ効果は3千億円程度との試算も示した。
原発が再稼働すれば発電コストの削減効果も見込める。10年度の発電コストは1キロワット時あたり8.2円だったが、火力依存が高まり現在は同13円まで上昇している。原発が19基再稼働した場合には同11.2円、9基の場合には12.3円まで下げられるとしている。
安全審査では川内原発が規制委から実質的な「合格証」を得たが、審査が緒についたばかりの原発が多いうえ、地元の同意も必要。想定のようなペースでの再稼働は難しいとみられる。
GDP、LNG、日本エネルギー経済研究所