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シャッター音に気づき、よけてくれた(星空スケッチ)

 東京都庁舎は高さ243メートル。1991年に完成した当時は高さ日本一だった。横浜ランドマークタワーや東京・赤坂のミッドタウン・タワーに超えられたものの、なお副都心のシンボルとして存在感を示している。ただ、完成直後なのに「ゴジラ」や「キングギドラ」に破壊されたり、近年は雨漏りに悩まされたりと、いろいろ苦労もあるようだ。

 北天の空と、巨大な建築物を構図に入れた。都庁の西に広がる新宿中央公園は、日付が変わる時間になっても散歩をするカップルやマラソンをする人たちの人通りが絶えない。そんな人たちが三脚に気づかず転んでけがをしたり、カメラが壊れたりするのが最も危険なので、星空を撮る際は三脚の設置場所に気をつかうようにしている。

 一方、カメラを触られて構図がずれてしまったり、盗まれてしまったりする心配は、撮れば撮るほど取り越し苦労だと言うことが分かってきた。この夜も、シャッター音に気づいた人がいたが、撮影中と知ると、わざわざよけて通り過ぎてくれた。つくづく日本人はステキな人たちだと感じている。(東山正宜)

     ◇

 2008年5月22日、東京都新宿区。午前0時54分から6秒露光で1時間45分間、連続撮影した894コマを多重露出。

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