ページ: 1 2

　藤本：党の重鎮らもこのところの安倍首相の政権運営に危うさを感じているようだね。最大の不安定要因は、慰安婦騒動の最中、大阪の橋下徹市長（４３）を官邸に招き入れて安倍首相との会談をセットした菅義偉官房長官（６４）の存在かな。今は内閣支持率が高いから黙っているが、参院選後は内閣改造、党役員人事をめぐり、ひともんちゃくあるかもしれない。

　上杉：橋下氏は大阪・八尾空港にオスプレイ訓練の受け入れを表明し、首相官邸に乗り込みましたが、地元の根回しもないまま官邸に持ち込むような話じゃありません。慰安婦騒動の目くらましでしかないのに。

　藤本：菅氏が窮地に立つ橋下氏に救いの手を差し伸べたということでしょう。党内基盤のない菅氏にとって橋下維新とのパイプは唯一と言っていい政治カードですから、橋下氏が落ち目になれば、官房長官を引きずり降ろされるかもしれない。実は新聞、テレビはどこも書いていないけど、４月１８日、北朝鮮のミサイル騒動の最中に菅氏は地元で選挙資金パーティーを開いている。これだけで十分罷免に値すると思うけど。

　上杉：閣僚の政治資金パーティーの開催は、大臣規範で自粛の取り決めになっていますしね。ただ、参院選後の内閣改造となれば、誰もが「大臣になれるかも」「残留するだろう」と期待しますが、いざ改造となれば９割以上が選に漏れ、不満を持つわけですから、逆に政権基盤を弱めることにもなる。

　藤本：いずれにせよ秋になれば原発再稼働や消費税の引き上げ、ＴＰＰ参加の是非で安倍内閣はガタガタになる（笑い）。

　上杉：そうなれば、日本売りで株価は大暴落。その意味で消費税、ＴＰＰ、原発はアベノミクスの“３本の毒矢”ですかね（笑い）。

☆ふじもと・じゅんいち＝１９５８年、福岡県生まれ。新聞、雑誌記者を経て独立、取材執筆集団「メディアフォーラム」代表。「建設業界・談合が崩壊する日」「永田町奇譚　もしニッポンの総理が東スポを愛読してたら…」など著書多数。本紙で「永田町ワイドショー」好評連載中。

☆うえすぎ・たかし＝１９６８年、福岡県生まれ。テレビ局、衆院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ取材記者、フリージャーナリストを経て、ミドルメディア「ＮＯ　ＢＯＲＤＥＲ」代表。近著に森達也氏との共著「誰がこの国を壊すのか」など多数。

ページ: 1 2