【藤本順一、上杉隆の言いたい放談】2012年9月29日掲載紙面から
自民党総裁選で安倍晋三元首相(58)が決選投票で石破茂前政調会長(55)を破って新総裁に就任。次期首相の座が濃厚となった。第1次安倍政権(2006年9月~07年9月)では、側近や気心の知れた仲間を重用したお友達内閣で1年間で政権を投げ出したが、その反省は生かされるのか。本紙「永田町ワイドショー」藤本順一氏、元ジャーナリストで自由報道協会代表の上杉隆氏が安倍氏をジャッジ。党執行部人事で浮き彫りとなったのは、麻生太郎元首相(72)がニラミを利かした“新・お友達路線”だった。
藤本:自民党総裁選で安倍氏が返り咲きましたね。1回目は地方票で石破氏が他候補を圧倒し、議員票は石原氏がトップでしたが、決選投票では安倍氏が反石原の議員票を取り込んでの逆転劇でした。その意味では、どこか釈然としない安倍氏の勝利です。
上杉:最後は無派閥の石破氏よりも派閥でポストや党内事情を考えた際に安全な安倍氏にしておこうというサラリーマン的な判断が議員に働きましたね。石原氏への議員票が多かったのは最後の数日で長老陣が相当に巻き返した。この辺りは旧態依然とした自民党らしさが出ましたね。
藤本:長老陣にとっては、ある意味、メンツをかけた最後の戦いでもありましたからね。
上杉:森喜朗元首相(75)、福田康夫元首相(76)、武部勤元幹事長(71)、山崎拓元副総裁(75)ら首相・幹事長経験者が軒並み引退を表明しています。ただ、石原伸晃(55)総裁誕生で幹事長ポストを狙っていた古賀誠元幹事長(72)は失意の中で派閥会長を辞めると言いながら、引退はしない。往生際が悪いですね(笑い)。
藤本:古賀氏は投票前日に引退説が流れましたが、政敵の麻生氏を叩き潰すまでは死んでも引退しませんよ(笑い)。
上杉:長老の相次ぐ引退で世代交代が進んだのは評価したいが、安倍氏一人が過去から後戻りしてきたような。5年前にも言いましたが、失敗は失敗でいいが、それを簡単に言葉にされるのは国民にとってはたまったものではない。政権の放り投げで当時、中小企業やいろんな人が犠牲になった。安倍氏は一度議員辞職し、そこから再起すべきでしたが、それもないままにまずは野党トップに返り咲いた。もう国民を実験台にしないでもらいたいところですが…。