【藤本順一・上杉隆の炎上上等言いたい放談:スペシャルゲスト:DeNA中畑清監督編(2)】
上杉隆:一方で現場に足を運んで、感じるのは中畑監督への期待の高さです。宮城や岩手は復興が少し進み、明るくなってきているが、原発被害の福島は別でした。そこに監督が出てきて、希望が見えてきた。原発事故対応の作業員が多く暮らしているいわきの駅前には、監督の写真が貼られていましたよ。
藤本順一:それは2010年の参院選に落選した時のポスターじゃないの(笑い)。世の中が沈んでいる時にこう言っちゃ失礼だが、工藤公康氏(48)が監督ではなく中畑監督が誕生したのは本当に良かった。最初に監督就任を聞いた時は、ゴルフであれだけOBを連発していた人がとも思ったが、ようやくフェアウエーのど真ん中に飛んだ感じです(笑い)。監督の明るいキャラクターが被災者だけでなく日本全体を元気にしてくれそうです。
中畑清監督:話が来た時には「明るい話題を提供するんだ」という使命感を持った。この3か月、もう一回、野球界が中心になって、日本のスポーツを引っ張っていくんだという大げさな気持ちでやっていました。
藤本:一つ言えることは政治家になっていなくて良かった(笑い)。
中畑:それは本当によく言われる。選挙で落選して良かったと言われる人はなかなかいないでしょ?(笑い)本当に根っからの野球人で良かったとつくづく思っていますよ。
上杉:日本でスポーツ選手に原発や放射能の話をすると「よく分からない」と避けられるが、監督はきちんとメッセージを発信している。監督業をやりながら国会議員を兼任できないですかね? また立候補してくださいよ(笑い)。
中畑:アハハハハ。まあ国会討論を聞くようになって、きちんと自分の意見や考えを持つようになったし、それで知事や福島選出の玄葉光一郎外相(47)や代議士とも話ができるようになった。政治家を目指した時間は決して無駄ではなかった。政治家に言いたいことは、上っ面だけでなく、現場に1か月でも住みついて、体を張って、現状を見てもらいたいね。
藤本:あとは万年最下位の横浜が優勝争いして、監督が引き続き、注目を集めることですよね。ぜひ優勝して、またチャリティーコンペを開催しましょう。
中畑:ハーーーイ(笑い)。頑張ります。
(2012年3月18日付紙面から)
☆なかはた・きよし=1954年福島県生まれ。駒沢大卒業後、巨人入団。絶好調男として、G打線の主軸で活躍し、ゴールデングラブ賞7回受賞。引退後、巨人コーチ、五輪代表コーチ、監督を経て、2010年の参院選でたちあがれ日本から比例で出馬も6038票差の次点で落選。昨年12月に横浜DeNAベイスターズの監督に就任。
☆ふじもと・じゅんいち=1958年、福岡県生まれ。新聞、雑誌記者を経て独立、取材執筆集団「メディアフォーラム」代表。「建設業界・談合が崩壊する日」「永田町奇譚 もしニッポンの総理が東スポを愛読してたら…」など著書多数。本紙で「永田町ワイドショー」好評連載中。
☆うえすぎ・たかし=1968年、福岡県生まれ。テレビ局、衆院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ取材記者、フリージャーナリストを経て、社団法人自由報道協会代表。ミドルメディア「NO BORDER」代表。著書に「新聞・テレビはなぜ平気で『ウソ』をつくのか」など多数。