The Economist

中南米の外交:もう欧米頼みではない

2014.07.25(金)  The Economist

(英エコノミスト誌 2014年7月19日号)

プーチン大統領と習主席にボンジーア!

サッカー・ワールドカップ(W杯)が終わるや否や、外交が始まった。ブラジルがW杯を総じて円滑に運営できた功績を早々に我が物にしたジルマ・ルセフ大統領は、7月半ば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を迎え、新興国グループのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議を主催し、中国の習近平国家主席を国賓として迎えた。

 BRICSサミットはロシアと中国の両首脳に中南米各地を歴訪する口実を与えた。中南米諸国が米国と欧州ばかりに目を向けていた時代は、とうに過ぎ去った。中南米は今や、外部世界との幅広い関係を謳歌している。しかし、果たして中ロ首脳の中南米訪問は、忠誠関係の緩やかな変化につながるのだろうか?

相次ぎ中南米を歴訪した中ロ首脳の思惑

 プーチン氏にとっては、今回の外遊は、政府がウクライナでのロシアの行動を気にかけない国々を訪れる歓迎すべき機会だった。

 キューバとニカラグアでは、プーチン氏はソ連時代の友好関係を復活させた。あるロシア紙は、ロシアがキューバの諜報基地を再開する計画について報じた。プーチン氏はこれを軽く受け流したが、ロシアは確かに今月、キューバの対ソ連債務350億ドルの90%を減免している。

 他国では、プーチン氏はロシアの原子力技術を(アルゼンチンに対して)、そして武器を(10億ドルのロシアの対空ミサイルシステムに興味を示すブラジルに対して)輸出する機会を模索した。

 中南米と中国との関係は、ロシアとの関係よりもずっと歴史が浅い。またロシアとの関係よりずっと重要だ(図参照)。中国と中南米の貿易は、今世紀に入って20倍以上に増加した。中国は、投資家としても貸し手としても大きな存在になっている。

 緊張も一部にはある。ブラジルは、中国は原材料しか輸入せず、第三国の市場では、往々にして競争力のないブラジル製造業者を価格で凌いでいると嘆いている。中国の鉱業および石油企業はゆっくりと社会的な懸念や環境への懸念に適応している。

 国家主席として2度目となる習氏の中南米歴訪は、33カ国が加盟するラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の首脳たちとのブラジリアでの会合が目玉の1つとなった。これは、1つのブロックとして発展途上地域と対処したがる中国の姿勢を反映しているが、このアプローチは実際には、中南米の多様性と分裂に妨げられる。

 一部の国は特別待遇を受ける。習氏はベネズエラでは、…
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