三鷹ストーカー:「後悔はあるが…」22歳被告が謝罪拒否

毎日新聞 2014年07月24日 21時46分(最終更新 07月24日 22時50分)

送検のため三鷹署を出る池永チャールストーマス被告(左)=東京都三鷹市で2013年10月10日、梅村直承撮影
送検のため三鷹署を出る池永チャールストーマス被告(左)=東京都三鷹市で2013年10月10日、梅村直承撮影

 ◇ネグレクト告白を傾聴で「彼女が心の大部分占める」

 東京都三鷹市で2013年10月、元交際相手の高校3年の女子生徒(当時18歳)を殺害したとして殺人罪などに問われた無職、池永チャールストーマス被告(22)の裁判員裁判は24日、東京地裁立川支部(林正彦裁判長)で被告人質問があった。被告は生徒や遺族への謝罪について「後悔はあるが、まだそういう気持ちに至っていない」と拒否した。

 被告は11年末の交際開始後、生徒に対し、母親からネグレクト(育児放棄)を受けるなどした自身の成育歴を告白。真摯(しんし)に聞いてくれたため「彼女が心の大部分を占めるようになった」と振り返った。

 13年6月に生徒の父親から連絡をしないよう言われた後は、別の女性と交際するなどしたが諦めきれず、7月中旬には「この苦痛から逃れるために彼女の殺害を意識するようになった」という。

 生徒への現在の心境を聞かれると、「非常に好きなので、彼女が直面した死の恐怖、苦しみ、痛みを味わい、共感してみたい」と答え、遺族への謝罪については「苦しんでいることは想像できるが、共感はできないので、言える段階ではない」と拒んだ。

 弁護側が心理鑑定を依頼した山梨県立大の西沢哲教授(臨床心理学)への証人尋問も行われ、西沢教授は幼少期の虐待やネグレクトでアイデンティティーの形成が不十分だと分析。その上で「心理療法などによる治療が可能で、一定の更生の可能性がある」と結論づけた。【松本惇、林奈緒美】

 ◇自分の欲求や考えに固執

 ストーカー相談を受けているNPO法人「ヒューマニティ」(東京都)の小早川明子理事長の話 遺族感情への配慮や裁判で不利になることより自分の欲求や考えに固執しており、「謝罪できない」という言葉にうそはないだろう。「死の恐怖を共感したい」という言葉の意味は、女子生徒の死を二人の特別な体験と位置づけ、一体感を得ようとしているのかもしれない。深いゆがみを抱えた心理はストーカーに特有で検証が必要だ。

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