主に中小企業の経営者たちが集まる「海外進出」に関するセミナーで、いまもっとも人が集まるのは「中国からの撤退セミナー」である。中国では日本企業が純粋なビジネスを展開するのは無理であり、中国共産党の思惑が企業活動に影響することが明瞭となってきたからだ。
本書を読んでいると、その政治的背景がよくわかる。日本にとって「外交」とは、常に中国との関係が基本にあったが、近代史において中国もまた日本との関係が、国家運営の要に位置しているのである。それゆえ中国は日本に対して敏感である、と。
中国は「(他国に対して)中国の国家主権と領土統一を尊重するよう要求する。しかし、それは中国が他国の主権を尊重することを意味しておらず」と著者は指摘する。何故だろう。
中国にとっての国際関係とは、中国を中心とする「上下関係の国際秩序」だからである。それゆえ、近隣にある日本がそれに従わないことは許せないのだ。本書は日本への深いコンプレックス(複雑な劣等感)によって動く中国の現実を、長い「文明史」から読み解いている。必読の一冊。
★★★★★
(福山大学教授 中沢孝夫)
[日本経済新聞夕刊2014年7月23日付]
★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
平野聡
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