ベネッセコーポレーションの顧客情報漏洩事件で、元システムエンジニア(SE)の松崎正臣容疑者(39)=不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕=が、名簿業者に顧客データを売り込む際に「イベントで集めた情報で、もういらなくなった」などと説明していたことが18日、警視庁生活経済課への取材でわかった。
同課は松崎容疑者が顧客データの不正持ち出しを隠そうと虚偽の説明をしたとみて調べている。
同課によると、松崎容疑者が初めてベネッセの顧客データベース(DB)から情報を持ち出したのは昨年7月。インターネットで見つけた都内の名簿業者に、顧客データの入ったSDカードを持ち込んだという。
この際、自分の職業は明かさず「もういらなくなった情報」などと説明。名簿業者は警視庁の任意の事情聴取に「ベネッセから持ち出した情報とは気づかなかった」などと話しているという。
一方、松崎容疑者が今年6月までに15回にわたって売却した顧客データの中には、実在しないダミーの氏名などが含まれ、「進研次郎」などベネッセとの関係をうかがわせるものもあったことが捜査関係者への取材で分かった。
ベネッセの本社所在地や社員の自宅を「住所」としたものもあった。データが流出した場合、ベネッセや社員にダイレクトメールなどが届くことで不正を察知するのが目的とみられるが、ベネッセは「捜査に影響があると困るので回答を控える」としている。
都内のある名簿業者は今年2月に別の業者から名簿を購入したが、こうしたダミー情報に気づき、ベネッセから不正流出した可能性があるとみて転売をやめたという。
流出データは転売が繰り返され、名簿業者など10社が入手したことが既に判明。不正を知りながら取引していれば不正競争防止法に抵触するが、警視庁の任意の事情聴取に応じた業者はいずれも不正の認識を否定しているという。
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