基準スケールの取り方による誤差の違い
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映像から高さを求める場合、水平方向と違い２次元画像という点で計算精度に関しては注意を必要とします。
私も伊藤選手のジャンプの飛距離の計算で奥行き方向へのジャンプで大きな間違いをした事があります。
まず基本として守らないといけないのは、
１．数値がはっきりとしている物を基準スケールとする。
２．なるべくカメラからの距離の変化の無い画像を使用する。
当ブログの過去記事の数値に関して、おかしいという指摘をしたブロガーがいるが、彼の持ちいた計算方法でもかなりの誤差が生まれます。
その事をきちんと説明しておこうと思います。
彼の使用した数字は①と②です。
私の画像の線の入れ方もまずかった点はあります。
そもそも、そういう計算の弱い人が当ブログを見るはずが無いと思っていた時期の記事だからです。
彼の計算のどこが悪い点か？
まず、基準に取ったのが６６ｃｍとしている高さの線にしたことです。
この数字自体は計算から出したものであり、その計算が間違っていないという前提であれば、そういう検証手法はありえます。
けれども、この画像の場合、明確にわかる数字が、他にヨナ選手の身長があるということです。
もっとも、この身長自体の精度も、いつの時点でのものかがはっきりとはしないと言う点と日本のように精度の高い数字かという点に関しては疑問は残りはします。
それでも身長測定の精度位は日本と韓国でそんなに差があると思えません。
年齢ならサバを読むかもしれないが、身長でサバを読んでもスポーツの個人プロフィールとしてはあまりメリットがないと思えます。
女子バレーの選手のように、「高すぎるのがいやだ」という理由で低く申告をする事はあるでしょうが、フィギュアスケートの選手の場合はどちらの方向にしてもあまり意味がないと思うので、素直に信じるものとします。
では、身長を基準とした場合とジャンプの高さを基準とした場合の計算値の差を見て見ましょう。
１．１６２：ｘ＝①：②
２． ｘ：６６＝①：②
１．ｘ＝8867/2902*66＝201ｃｍ
２．ｘ＝2902/8867*162＝53ｃｍ
１．の計算による誤差
201-162＝39ｃｍ
２．の計算による誤差
66-53＝13ｃｍ
実に３倍の大きさの誤差となります。
これでは揚げ足を取るために都合よく数字を操作したと思われても仕方がないでしょう。
さらに、身長を基準スケールに取ったとしても、この計算では問題が生まれます。
実際の身長というのは、かかとの部分から頭の頂点までです。
したがって、身長を基準スケールとするのであれば、⑤の数字を取るべきです。
この場合でも、厳密に言えば身体の軸線が氷面に対して垂直であると言う前提条件が必要となります。
この事から生まれる見掛けの位置と実際の位置との関係は既に図示してあるので、そちらを見ていただく事とします。
ＣＡＤを使えない人や三角関数が苦手な人は⑤の数字を出しにくいので、簡易的に④の数字の代用も可能とします。
ここでジャンプの高さが計算から与えられていない場合について検証をしてみましょう。
④の数字を使用する場合
ケース① ジャンプの高さを氷面とブレード最下端部とする時
３．162：Ｘ＝④：②
Ｘ＝２９０２/８２９３*１６２＝５６．６ｃｍ
ケース② ジャンプの高さを氷面とかかととの間とする時
物理の計算では重心での数値なので、かかとの位置が、からだがまっすぐであれば近似値となります。
４．162：Ｘ＝④：③
Ｘ＝３４７６/８２９３*１６２＝６７．９ｃｍ
本来、検証というのは計算から出てきた数値を使うのではなく、新たな方向から計算をするべきであり、計算から出てきたジャンプの高さを使用してはいけません。
私の過去記事でもそのあたりの検証では計算から出てきた高さとは別に映像から求められる数値との誤差を比較しています。
進入速度の算出は映像に頼るしかないので、そこで求められた数値を元に飛距離の数値を算出し、画像上の数値との比較をしています。
最後に⑤と③の数値を使用した場合のジャンプの高さ
重心による計算とあわせるため
５．１６２：Ｘ＝⑤：③
Ｘ＝３４７６/８３３８*１６２＝６７．５ｃｍ
４．と５．ではほとんど変わりません。
したがって４．を代用地としてもこの画像の場合は、精度としてはあまり問題は生まれません。
では、今度は滞空時間から出したジャンプの高さを基準スケールとして身長を計算をしてみましょう。
この場合③をジャンプの高さとします。
滞空時間０．６３３秒の場合の高さは４９ｃｍ
Ｘ：４９＝④：③
Ｘ＝８２９３/３４７６*４９＝１１６．９ｃｍ
あれあれ？おかしい数字になりましたね〜〜？
では彼の計算を使用して見ましょう。
Ｘ＝８８６７/２９０７＊４９＝１４９．４ｃｍ
これでもまだ実際の身長に足りませんね。（笑）
彼の指摘した計算根拠が如何にずさんなものであるか、これでお解りになったと思います。
私が滞空時間でジャンプの高さを求めているのは、ここに理由があります。
この位までして指摘してきたら、認めてあげるのだけどね〜〜。（笑）
勉強になったという人はクリックしてね。
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