大阪市営地下鉄:伝統の用語改めやさしい日本語に
毎日新聞 2014年07月24日 15時45分
「軌道」は「線路」、「上り・下り」は「○○方面」−−。大阪市交通局が市営地下鉄の構内アナウンスや案内表示に使われている専門的な言葉約200語を分かりやすい日本語に言い換える取り組みを始めた。外国人に災害情報などを正しく伝える「やさしい日本語」の考え方を採用した。専門家によると、全国の鉄道事業者で初めての試みという。
例えば、市営地下鉄での「上り」は、南北の路線では北行き、東西の路線では西行きを指すが、具体的な行き先で表現するようにする。人身事故でダイヤに乱れが出た場合、これまで「出発抑止をしています」とアナウンスしていたが「運転を見合わせています」に言い換える。「遺失物」は「お忘れ物、落とし物」とする。
乗客らから「アナウンスが分かりにくい」と指摘されたことを受け、昨年6月、駅業務を担当する職員10人で検討チームを発足。大阪府内で開かれた佐藤和之・弘前大教授(社会言語学)の研修会に参加し、日本に住み始めた外国人が理解できる程度の簡単な日本語で要点を伝える「やさしい日本語」の活用方法を学んだ。
これを踏まえてこれまで利用客向けに使っていた専門的な言葉を集め、言い換え表の作成に着手。チーム座長の本多淳人さん(50)は「自宅で小学2年の次男に聞くと、『危険物』は分かるけど『不審物』は分からない、と言われた」と振り返る。外国人にも意見を聞いたという。
言い換え表を基に、人身事故や火災の発生時の放送マニュアルも見直し、「言いにくい言葉や駅名は意識的にゆっくり話す」「強調したい言葉の前に短い間を取ると効果的」などのポイントも明示した。また、非常時に改札口などで掲示する案内ポスターは視覚的に伝わるようイラスト入りに一新。全駅の駅員約1700人を対象に研修会を開き、6月から各駅で始めた。
佐藤教授は「分かりやすい表現は外国人だけでなく、全利用者の理解も助ける。日常生活に欠かせない他の鉄道や医療機関などにも広まってほしい」と話している。【重石岳史】
◇専門用語の言い換え例(大阪市交通局作成)
遺失物 →お忘れ物、落とし物
オーバーラン→停止位置を誤る
先行列車 →前の電車
遅延 →遅れ、遅れが発生
停止信号 →信号待ち
戸袋挟み →扉に物が挟まる
飛来物 →線路に障害物がある
ポイント故障→信号故障