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MUSIC

ティム・バートンを名監督にした音楽家ダニー・エルフマンの功績

インタビュー・テキスト:伊藤なつみ 撮影:豊島望 取材協力:HANG OUT(2014/07/23)

主題歌“Let It Go~ありのままで~”によって脚光を浴びた2014年の『アナと雪の女王』の記録的な大ヒットは、映画における音楽の重要さを再認識させるきっかけとなった。とはいえ主題歌に限らず、サウンドトラックはいつの時代も映画の魅力を増大させる役目を担ってきた。なかでも、「映画監督ティム・バートン」のユニークなファンタジー観を音楽でさらに印象づけることに成功した「作曲家ダニー・エルフマン」は、そのキャリアから言っても注目に値する人物だ。『バットマン』『シザーハンズ』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『PLANET OF THE APES/猿の惑星』『ビッグ・フィッシュ』『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』……この名コンビが生み出してきた映画を一度でも見たことがある方は、その作風を思い出そうとしたとき、奇想天外なシーンに付随して特徴ある楽曲も頭のなかで流れてくるはずだ。

映像と音楽の見事なコラボレーションによって生まれる感動を、生で体感できるライブイベントが、この夏『ティム・バートン&ダニー・エルフマン 映画音楽コンサート』として開催される。バートン監督作品の映像がスクリーンに映し出されると同時に、エルフマンが監修する総勢130人のオーケストラとコーラスが数々の名曲たちを完全再現していく。しかも、エルフマン本人も来日し、ステージで歌うという。そこで今回は、幼い頃から映画音楽に魅了され、なかでもダニー・エルフマンの音楽に惹かれ、今では自身も映画音楽を手掛けるようになったコトリンゴに、映画における音楽の魅力や、「作曲家ダニー・エルフマン」の魅力について語ってもらった。

PROFILE

コトリンゴ
1978年生まれ。5歳よりピアノを始め、7歳で初めての作曲をする。1999年、神戸の甲陽音楽院を卒業後、ボストンのバークリー音楽院に留学。ジャズ作・編曲 / ピアノパフォーマンス科専攻。在学中には教会でのクワイヤのレギュラーピアニストや、バークリーのボイス科のピアノ伴奏の仕事も務めながら、数々の賞を受賞。2006年『こんにちは またあした』でデビュー。2010年にアニメーション映画『くまのがっこう~ジャッキーとケイティ』、2012年には、映画『新しい靴を買わなくちゃ』の音楽を、坂本龍一と共に手がける。最新アルバム『birdcore!』には、ドラマ『明日、ママがいない』の主題歌“誰か私を“を収録。卓越したピアノ演奏と柔らかな歌声で浮遊感に満ちたポップ・ワールドを描きだす女性シンガー・ソングライターとして各方面から注目を浴びている。
コトリンゴ オフィシャルページ

夢中にさせる映画音楽の共通点は、「聴いていてその世界に入り込めるし、想像力も膨らむもの」ですね。

―コトリさんが、映画音楽に興味を持つようになったきっかけはなんでしたか?

コトリンゴ:作曲家として最初に意識したのはジョン・ウィリアムズですね。彼が音楽を手がけた『フック』(1991年)という映画を中学生のときに見たんですけど、子どもたちの合唱の曲が面白かったんです。ただサウンドトラックということになると、もっと前にジブリ映画のサントラをわりと買ってもらっていました。ジブリを最初に映画館で見たのは『となりのトトロ』(1988年)で、小学校4年生だったので自分と主人公の設定も近くて、ドンピシャの感じでハマりました。ちょうど音楽教室に通っていたときにジュニアオリジナルコンサートのようなものがあって、私はトトロが大好きだったので、トトロの曲を自分なりにオリジナルで作曲しました(笑)。その後はディズニー映画が流行りだした時期があって、そのサントラを買ってもらってよく聴いていました。

コトリンゴ
コトリンゴ

―まさに今、『アナと雪の女王』が大ヒットしていますが、ディズニーは昔から映画音楽も人気ですからね。コトリンゴさんが聴いたのは、『アラジン』(1993年)の“ホール・ニュー・ワールド”が大ヒットした頃ですか。

コトリンゴ:はい、でも歌ものではなく、ディズニーのオーケストラがやっている曲がとても好きで。一方で芸能山城組が音楽を担当した『AKIRA』(1988年)もものすごく好きで、サントラも持っています。

―確かに子どもの頃って、アニメから音楽にハマることが多いですよね。

コトリンゴ:『AKIRA』のサントラは子ども心に本当に印象的でしたね。ケチャや、ガムランなんかの民族音楽に登場人物の名前や祭りの掛け声が入っていたりして、ディズニーやジブリとは対照的で混沌としているというか、予想がつかないというか。

―ジブリもディズニーも『AKIRA』も、映画音楽の方向性は全然違うけれど、どれも強く印象に残っているわけですね。夢中になったサントラの共通点はなんだと思いますか。

コトリンゴ:聴いていてその世界に入り込めるということですね。ヘッドフォンで聴くのが好きだから、目の前に映像がなくてもその世界に没頭できたり、聴きながら映画とは別のストーリーを頭のなかで想像したりするのも好きですね。当時から歌の入っていない曲をピアノでたくさん弾いていたので、そういうこともあってサントラをよく聴いていたと思うんです。

―歌ものになりますが、大ヒットしている『アナと雪の女王』はどうでしょう?

コトリンゴ:まだ映画を見ていないんです。でも、“Let It Go”だけはオフィシャルYouTubeの英語版のPVで見たんですけど、ちょうどそのときの自分の状況と曲があまりにもマッチしていて、号泣しました。英語の歌詞の内容がダイレクトに来て、勇気をもらいました。

―ヒットするのも納得という?

コトリンゴ:納得かもしれません。大人が感動するような内容の歌詞だから、あの曲を子どもがずっと歌うのは不思議ですけど、映画の世界観があるからこそ親しみやすいのだろうなと思いました。

コトリンゴ


ティム・バートンの映画は、ダークな世界なんだけど、茶目っ気もあって、ちょっと怖いけど、なんか楽しそうという……そこにダニー・エルフマンの音楽が合っているんだと思います。

―コトリさんは、映画音楽のなかでも映画監督ティム・バートンと作曲家ダニー・エルフマンのコンビが大好きとのことですが、まず最初にその二人を知ったきっかけを教えて下さい。

コトリンゴ:小学校6年生のときに、学校で週に1回映画を見る時間があったんですけど、そこで『シザーハンズ』を見て、その世界観をすごく好きになったんです。でも、そのときはまだ二人の名前までは認識してなかったと思うので、ティム・バートンとダニー・エルフマンという作り手の方に興味が移ったのは大人になってからだと思います。

―ミュージシャンを目指していた頃?

コトリンゴ:はい、大学に入ってからですかね。なにか1つの作品に劇的に衝撃を受けた、というわけではなくて、気づいたら「これもティム・バートン、あれもティム・バートン、好きな映画はどれもティム・バートン!」みたいな感じで(笑)。ティム・バートンの映画は世界観がはっきりしていて、それで面白いなと思って。

左から:ティム・バートン、ダニー・エルフマン Photo:Paul Sanders
左から:ティム・バートン、ダニー・エルフマン Photo:Paul Sanders

―そのなかにダニー・エルフマンが音楽を担当していた作品があったわけですが、ティム・バートンの映画を好きになるきっかけとして、音楽の効果も大きかったという。

コトリンゴ:音楽の存在は大きいです。ダニー・エルフマンの音楽が、ティム・バートンの世界観にものすごくマッチしていて、まず映画が始まったときにテーマ曲が流れて、「あっ、これから始まる!」っていうワクワク感を味わわせてくれるのは、この二人の見せ方の意識がとても合っているからだと思います。ティム・バートンの映画って、ちょっとダークな世界なんだけど、茶目っ気もあって、ちょっと怖いけど、なんか楽しそうという……。そういう気持ちになる作品ってあんまりないと思うし、そこにダニー・エルフマンの音楽が合っているんですね。


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