決められた仕事をやらされるだけの委員会活動はいらない――。そんな発想から委員会を全廃し、代わりに校内の課題を子どもが見つけて解決策を考える独自の取り組みを始めた小学校が新潟県にある。「脱・やらされ委員会」で、自主性を伸ばすねらいだ。

 6月中旬の朝。上越市立大和(やまと)小学校(児童219人)の音楽室で、低~高学年の約30人が話し合っていた。議題は「勉強を通じてほかの学年の子と仲良くなる方法」。入学式から2カ月、早く打ち解けようと考えた。意見を出し合い、進行役の子が多数決を採った。「低学年の子に勉強を教える方法がいいと思う人は手を挙げてください」

 ほとんどの子の手が挙がった。早速、足し算や引き算の問題用紙をつくり、間違った所を教えてあげた。

 同小が4年前から取り組む「ボランティア・プロジェクト(VP)」だ。委員会や児童会、学級委員制度を全廃して始めた。

 小学校の学習指導要領では、委員会活動は「特別活動」のうち児童会活動の一例に挙げられている。指導要領は、その目標を「諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度の育成」とするが、実際は「決められた仕事をやらされている部分があった」と西沢可江子校長(59)は言う。

 5、6年生が全員参加だった委員会に対し、VPは全学年が対象で、参加は自由。各学級で問題点や打開策、やりたいことを考えた上で、10前後の活動チームをつくる。全校児童が好きな活動に加わり、近年の参加率は約95%だ。

 委員会は通年で同じ所属だったが、VPは2カ月ごとに活動内容も所属も変える。担当の大矢美和教諭(39)は「役職が固定する委員会と違い、たくさんの子がリーダー役になれる」とその長所を挙げる。

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