2020年東京五輪の開会式は、きょうからちょうど6年後に開かれる。

 日本オリンピック委員会(JOC)は金メダル数世界3位を目標に掲げているが、その足元が揺らいでいる。

 選手強化のための公的資金の使い道を決める権限を、国に取り上げられかねないからだ。

 そのきっかけは、国会のスポーツ議員連盟が来春の設置をめざすスポーツ庁の議論だ。強化資金の窓口を、日本スポーツ振興センターを改組する新法人に一本化したい方向だ。その担当は文部科学省となる。

 スポーツ界の頭越しに国策で選手強化が進もうとしている。

 JOCには負い目がある。昨年、柔道女子のトップ級指導者による暴力が表面化した。競技団体による公的資金の不正受給などの不祥事も相次ぎ、スポーツ界の信頼は大きく崩れた。

 そうしたなか、JOCが今後6年間で1千億円の強化費を要望し、「カネは欲しい、口は出すな」と主張するのは、説得力に乏しい。

 かといって、国主導にも懸念がある。新法人はスポーツの現場に精通した人材を確保できるのか。職員がむやみに膨れあがるのは行政のスリム化という時代の流れに逆行する。

 窓口を新法人に一本化するにしても、JOCやスポーツ界の知見を入れ、配分を決めるにあたっての透明性の確保と、ルールの明確化が求められる。

 そもそも、カネの権限をどの組織が握るかに議論が偏っているのが残念でならない。

 選手強化とともに、考えるべきは競技団体のガバナンス(組織統治)強化ではないか。

 一連の不祥事の背景には経理、財務、法律の専門知識を持つ人材の不足がある。民間の協賛金を集めにくく、財源が乏しい団体ほど切実な悩みだ。

 日本の財政赤字、さらに過去の開催国の例を見ても、東京五輪が幕を閉じればスポーツ予算の大幅カットが予想される。スポーツ界は自立を迫られ、自己財源の充実に活路を見いださざるを得なくなるだろう。

 五輪までの6年間は、競技団体が組織の足腰を鍛える準備期間になる。

 世界のスポーツ関係者と交流を深め、マーケティングや大会運営のノウハウなどを学ぶ絶好のチャンスだ。

 JOCは統括団体としてのリーダーシップを発揮すべきだ。国もメダル競争で前面に出るのではなく、屋台骨である競技団体の自立を促すサポート役の自覚をもってもらいたい。