Financial Times

ガザ地区:どちらも望んでいなかった無意味な戦争

2014.07.24(木)  Financial Times

(2014年7月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

【写真特集】死者500人超、激化するガザ攻撃

ガザのシェジャイヤ地区で、イスラエル軍の攻撃で上がる煙と逃げるパレスチナ人たち〔AFPBB News

パレスチナ・ガザ地区のハマスとイスラエルが今日行っている戦争の無益さは、どう表現しても誇張にはならないのではないだろうか。

 どちらの側も戦いを再開したいとは思っていなかった。だが、ハマスがそのわずかな領地から手製のロケット弾を発射すればイスラエルがお返しに誘導ミサイルと砲弾の雨を降らせるという、何度も繰り返されてきたカオスと恐怖のスパイラルには、非情な論理がある。

 どちらの側も、人の血が流れている以上は何らかの成果を上げなければならないと考えている。ハマスにとっては7年に及ぶガザ地区の封鎖を解くこと、イスラエルにとっては抑止力を回復することがそれに当たる。どちらの側も、悲惨な状況から抜け出せず明るい未来という望みからも切り離されたガザ地区の住民170万人のために、長期的な展望を描いているようには見えない。

高くなった流血の惨事のハードル

 イスラエルがガザ地区のハマスやレバノンのヒズボラと以前行った非対称戦の経験から言えば、大量殺戮を止めるには、残忍きわまりない出来事が起こって世界中から非難の声が沸き起こり、外国や国際機関が行動せざるを得なくなるという展開が必要になるのが普通である。ところが今回の戦争では、その展開が始まるのに必要な流血の惨事のハードルが高くなっているようだ。

 イスラエルが先週後半に地上戦を始めた後、パレスチナ側の死者の数は600人を超えた。大部分が民間人だ。一方、イスラエル側の死者の数は22日朝までで29人であり、うち27人が兵士だった。しかしガザの海岸で先週サッカーに興じていた少年4人がイスラエルの砲撃を受けて亡くなったとか、ガザ地区の数家族が一度に命を落としたといった最大級の恐ろしい出来事でさえも、戦いをやめさせる力を持つには至っていない。

 確かに、事態打開の選択肢を模索している米国のジョン・ケリー国務長官はテレビの生放送の合間に、多数の民間人や子供の死傷者を出したイスラエルの攻撃を評して「まったくひどいピンポイント作戦」だと口走った。だが、すぐに国の方針に沿った発言をするモードに戻り、ハマスの連続攻撃に対するイスラエルの対応は「適切かつ正統な」自衛だと言い切った。

 このように死傷者が出る事態のきっかけを突き止める作業には、政治的な思惑がつきまとうのが常だ。今回の戦争は、イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸地区の入植地出身のユダヤ人神学生3人が先月、誘拐・殺害された後、パレスチナ人の10代の若者がその報復として殺害されたことから始まった。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はハマスを非難したが、ユダヤ人神学生を誘拐したのはヘブロンのカワスメ一族だと広く信じられている。イスラエルとの休戦を何度も妨害してきた一族だ。

 この一族は今回、ハマスとファタハの統一政府発足合意…
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