なんと開会式や公式パーティ、閉会式の司会は、前日の夕方に急遽決まったという、声優・ナレーターの遠近孝一(とおちかこういち)さんでありました。ちょうど今回のなつこんのために、佐藤監督の『学園戦記ムリョウ』を拝見し、とてもよかったと感じていたところだったので驚きました。遠近さんは『学園戦記ムリョウ』で、主人公のハジメくんやムリョウくんの同級生、トシオくんを演じておられたのです。自分が初めてSFを好きになった「あのころ」を思い出させてくれる、すてきな作品でした。
初日は10時頃会場に着いて、オープニングのリハーサル。私が開会の辞を述べようとすると、悪の組織がやってきて中断され、それを地元の戦隊、時空戦士イバライガーの皆さんが助けてくれる、という段取りになっていました。構成は漫画家のうるの拓也さんでしたが、その場でイバライガーブラックさんたちが次々とアドリブで構想をブラッシュアップ、私の見せ場もつくってくださったのです! この開会式はおかげさまで大好評でした。
それで、2日目の企画をすべて終えて、閉会式の会場に行くと、もう始まっている。どこへ行けばいいのか事前の指摘もなかったのでうろうろしていたら、スタッフの方が駆け足で訊いてきてくださいました。曰く、「開会式は瀬名さんの言葉で始まったので、閉会式は佐藤監督とやるから、瀬名さんは会場の観客席でご覧になっていてください」とのこと。はいわかりましたと会場の後方におとなしく座っていたのですが、大会恒例の「暗黒星雲賞」贈賞式になって、突然ゲスト部門で私・瀬名の名前が呼ばれ、本当にびっくりしました(後で聞いたらスタッフの仕込みではなかったそうで、会場にいられたのは偶然でした)。
ということで、私・瀬名秀明、「暗黒星雲賞・ゲスト部門」を受賞いたしました!
大きな拍手で迎えていただき、ちょっとうるっときてしまいました。いや、正直いって、日本SF作家クラブの会長になるよりよっぽど嬉しい。表彰状の「攫われても挫けることのなかった」云々は、イバライガーチームの機転のおかげですし、なつこん実行委員会の皆様と、会場にいらっしゃったSFファンの皆様の、温かなお心遣いあってこその受賞でした。本当に感謝いたします。
これからはプロフィール欄に「暗黒星雲賞受賞」と書こう。
閉会式が終わった後、声優・女優・歌手の池澤春菜さんとちょうどすれ違ったので「ぼくも暗黒星雲賞を取りました」と伝えたら、「後輩になったわね!」と笑顔で返していただきました。
翌日はオプショナルツアーのセグウェイ体験に参加。佐藤監督も打ち上げの席でいっていましたが、「最後は楽しかったので、終わりよければですね」。本当に楽しい、充実した2日間半を過ごさせていただきました。
ちょうど『パラサイト・イヴ』を自宅に籠もって書いていた大学院生時代から20年。よい記念になりました。皆様に心から感謝いたします。
・暗黒星雲賞の表彰状と、副賞のガマ。手塗りのようです。
・遠近孝一さんからいただいた色紙。 あっ、佐藤監督からサインをいただくのを忘れた!
・総勢17名で寄稿した、660ページの第53回日本SF大会なつこん記念アンソロジー、今岡正治編『夏色の想像力』。本物の創元SF文庫そっくり。(それもそのはず、本当の印刷所と製本所に頼んだのだとか)
そのほか、ツイッターやブログにアップされていたお言葉やお写真の一部です。
・佐藤竜雄監督のツイッター
さて、SF大会。オープニングは瀬名秀明さんが怪人に拉致されようとする衝撃のスタートだったが、司会が遠近孝一くんというのも驚いた(ムリョウのトシオだよ!)。更に驚いたのは夜のパーティーで瀬名さんが学園戦記ムリョウのオープニング(しかも二番)を乾杯の前に朗々と歌われたことである。 From: seitenhyohyo at: 2014/07/20 07:17:16 JST
もう一人のゲストオブオナー、瀬名秀明さんにサトウの作品を見せたいと言われてムリョウのDVDをお貸ししたのですが、思いのほか気に入っていただいてパーティにて主題歌まで歌っていただいたのは嬉しかったですよ。「初めてSFを好きになった、あの時を思い出させてくれた作品!」とまで言われ! From: seitenhyohyo at: 2014/07/22 02:09:11 JST
・暗黒星雲賞について
今年の暗黒星雲賞のゲスト部門はGoHでもあります「瀬名秀明」様でした。 開会式にて悪の組織に攫われれながらも挫けなかった姿に感動の嵐です。 From: ankoku_kato at: 2014/07/21 18:02:32 JST
・今年の暗黒星雲賞・自由部門を受賞された「タイムテーブル」関係者のおひとり、なつこん実行委員会企画管理担当の甘えびさん、2005年の暗黒星雲賞を受賞された磯部美雪さん。
→甘えびさんのfacebook
→磯部美雪さんのブログ
とても楽しかったのですが、ひとつだけ驚いたのは、大会開催期間中におこなわれる日本SFファングループ連合会議の総会で、「日経「星新一賞」を連合会議で応援してほしい」という議題が却下されたこと。星マリナ氏の「SFファン全員から応援してもらいたい」という意向をくんで、私が連合会議の元関係者の方に問い合わせ、どうやったらこの議案が通るのかいろいろ相談に乗ってもらったのです。「GoHからの発案ならさすがにみんないやとはいわないのでは」との話もありましたが、結局日経「星新一賞」の現実行委員会メンバーである株式会社イオの乙部順子さんや連合会議参加グループの小松左京研究会様から議案提出していただくかたちになった、はず。
星マリナ氏や乙部さんの意向は、つまるところ全国の地方SFコンベンションで日経「星新一賞」のチラシを配ってもらったり、もし積極的にご賛同いただけるならファン団体のウェブページにバナーリンクを貼っていただいたりと、そのくらいのことで充分だったのです。ところが「日本SFファングループ連合会議は特定のイベントを応援しない」という意見が出たそうで、否決。しかもその反対意見を出したのは、星新一賞予備選考委員(牧眞司氏)のご家族(牧紀子氏)だったという……。なんというか、この世界はよくわからないですね……。
こういうことって書いちゃいけないのかもしれんが(星雲賞の候補に残れなくなるかも??)、人間は信じられないものだなあという、なつこん開催中に唯一唖然とした出来事でありました。
というわけで、日経「星新一賞」は、べつに日本のSFファンが組織立って応援している賞ではないのだ、ということが、はっきりいたしました。まあ、なあなあの人間関係に甘えて続けるよりよかったのでは。
これにておしまい。
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