MITが開発する「知的な素材」の全貌

<動画>「セルフアセンブリ」というフロンティア

 
次々に姿を変えるマテリアルは必見!

セルフアセンブリ」という新しいフロンティアについて聞いたことがあるだろうか。セルフアセンブリとは文字通り、材料が自ら集合して、製品に組み上がることを指す。研究を進めているのはマサチューセッツ工科大学(MIT)。この技術について設営してくれるのはS・ティビッツ。MITのセルフアセンブリ研究室長だ。

彼は素材を新しいメディアにしようとしている。素材自体が決定をしたり、知性をもったり、変形したりすれば、生活を変えることができる、という発想だ。素材の動きをみると、まるでロボットのようだが、これはロボットではない。重要な点は、プラスチック、発泡スチロール、金属など豊富で手に入りやすい素材を使うことだ。

エネルギーへの反応に基づき素材をプログラミングする、という点が重要で、現在はそのエネルギーとして水蒸気を使っている。ティビッツ氏の構想では、いずれ熱、光、電流など、ほかのエネルギー源も使えるようになる予定だ。

具体的な例を見てみよう。まず金属ワイヤを鋳型に入れて形にする。金属をプログラミングして、この形を記憶させるわけだ。これを摂氏82度の湯につけると、ひとりでに精密な幾何学模様に変形する。何回繰り返しても同じ形になるのだ。

もうひとつお見せするプロジェクトは2種類の素材を使う。黒と白の素材が精密に印刷されており、柔軟なレコードの形が堅いサドルのような形に変形するのだ。

こうした素材はさまざまなところへの応用が期待できる。靴や洋服に使えるだけでんかう、航空機の部品にも使えるだろう。周囲の状況によって、グリップ力が変わるタイヤなどは有望だ。

流量に応じて太さが変わるパイプ

賢い素材は自分で動く。たとえば白いワイヤのようなこの試作品を下に押すと膨らむ。これは管として使用できる。容量に応じて管を拡張したり細くしたり、ということができるのだ。今は下に手で押しているが、将来は力で変えなくても自ら適応できるようにしたい。

ティビッツ氏は言う。「不可能と思えることに取り組むのは楽しい。限界に挑むのだ。できなかったら、やってみようじゃないか」
 

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