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安倍首相の語る第三子支援が的外れではない理由

先日、安倍首相が山口県内で講演し、「第三子以降に特化した重点的な支援を行っていく」と語ったという報道があった。これに対し、ネット上ではどちらかというと「結婚や一人目もままならないのに第三子なんて的外れ」といった批判が多かった。しかし、少子化対策に成功し、高い出生率を維持しているフランスや北欧でも第三子以降への支援を手厚く行っており、政策としては決して的外れとはいえない。

たとえばフランスの家族手当は、第一子では支給なし、子どもが2人いると月125.78ユーロ(約1万7000円)、3人目以降は1人ごとに161.17ユーロ(約2万2000円)が所得制限なしで支給される。つまり、こども1人では0円、2人では1万7000円、3人では3万9000円、4人では6万1000円といった具合だ。この額は子どもが11歳以上、16歳以上になるとさらに追加される。いずれにせよ、第一子よりも第二子、そして第三子以降に手厚い支援が制度設計されている。ほかにも、所得制限のある支援として、0歳から3歳までの乳幼児基礎手当が月180.62ユーロ(約2万5000円)、6歳から18歳までの学齢期を対象にした新学年手当が月約300ユーロ(約4万1000円、年齢によって異なる)が支給され、かなり手厚い制度になっている。結果、フランスの合計特殊出生率がV字回復し2.0を超えていることはよく知られている事実だ。

ほかに出生率の高い北欧をみてみると、フィンランドやスウェーデンも第三子以降への重点支援が行われている。フィンランドの児童手当は第一子が100ユーロ(約1万4000円)、第二子が110.50ユーロ(約1万5000円)、第三子が141ユーロ(約1万9000円)、第四子が161.50ユーロ(約2万2000円)、第五子が182ユーロ(約2万5000円)だ。

スウェーデンでも第一子が月1050スウェーデンクローナSEK(約1万5000円)なのに対して、第二子が100SEK(約1500円)、第三子が354SEK(約5000円)、第四子が860SEK(約1万2000円)、第二子が1050SEK(約1万5000円)がさらに追加される。やはり両国とも第三子以降がかなり手厚くなっている。出生率はフィンランドが1.83人、スウェーデンが1.90人と高い。

もちろん、フランスや北欧諸国は第三子以降の重点的な手当のみならず、子育て中の女性が働きやすい環境の整備、男性の家事育児の責任共有が進んでいることの要因も大きい。ただし、子どもを多く産み育てることに対して国がはっきりと手厚く支援する姿勢を制度として保障していることが、高い出生率の成功要因であることは間違いないだろう。

日本では、出生動向基本調査(2010)によると、理想の子ども数平均は2.42人なのに対して、予定子ども数平均は2.07人になっている。さらに、実際に子どもを産んだ数である完結出生児数は1.96人だ。無理やりに「産めよ殖やせよ」ではよくないが、この理想と現実のギャップを埋めるのが政治の役割だといえよう。さらに詳しくみると、ギャップの最大の要因は経済的理由で、理想3人予定2人の71%。理想2人予定1人の44%が理由として挙げている。これは育児の心理的肉体的負担を理由に挙げているのが20%前後、夫の家事育児への協力が得られないが10%強なのに対して圧倒的に高い。

これらの調査結果は、第二子そして第三子以降への経済的支援が、政策的に有効に働き得ることを示唆している。もちろん、高い大学授業料や通塾料の問題もセットで検討する必要はあるだろう。

2010年時点で、三人以上子どものいる世帯は、完結出生児数の対象である結婚持続期間15~19年の世帯で21.6%だ。これは2002年の34.6%から急減している。代わりに増えているのが一人っ子世帯で、2002年の8.9%から2010年には15.9%に増加している。この要因として経済的理由が大きいと仮定すると、政策次第で反転可能とも考えられる。

もちろん、少子化の要因はそもそも結婚できる、あるいは結婚する人が減ってきている非婚化が大きいことも確かだ。特に若年世帯の給与の向上と雇用の安定が必要だが、結婚した世帯においても、理想とする子どもの数を理想通り産み育てられるような環境を整備していく必要があろう。

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