つい数カ月前には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を戦略の天才だと持ち上げることが流行になっていた。米国の右派は、プーチン氏の安定感と自国大統領のいわゆる弱さを対比させた。チャールズ・クラウトハマー氏は「オバマvsプーチンというミスマッチ」と題したコラムで、「この大統領の下では、ロシアの方が米国より断然上だ」と言い切った。
前ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏は、プーチン氏の決断力を評価して「これぞリーダーだ」と持ち上げた。英国独立党(UKIP)を率いるナイジェル・ファラージ氏は、プーチン氏こそ最も素晴らしい世界的指導者だと思うと語っていた。
マレーシア航空の17便が撃墜された今、こうしたお世辞はすべて的外れに見えて仕方がない。ロシアはウクライナの分離主義者の武装集団に地対空ミサイルを供与したと見られるが、この政策は単に非道徳的だっただけでなく、プーチン氏は戦略の面で天才的な人物だという見方が誤りだったことの証明にもなっている。今回の撃墜事故で、プーチン氏は自らの被害妄想と冷笑的な政策ゆえにロシアを経済的・政治的に孤立させつつある向こう見ずなギャンブラーだったことが露呈したのだ。
クレムリンの小さなマキャベリ(注:「君主論」を著したルネサンス期の思想家。冷徹な策略者のたとえ)は、分離主義者の武装集団とロシアとのつながりについてもっともらしい言い逃れを続けながらウクライナ東部を不安定な状況に置くことができると思っていた。
ところが、人形遣いは糸をしっかり握っていることができなかった。300人近くの罪のない一般市民が命を落とした後、ロシアの関与に厳しい視線が向けられている。ロシア以外の国の人で、この件に同国は関与していないという主張を受け入れるのは筋金入りのプーチン擁護論者だけだろう。
■困難な選択迫られるロシア
ロシア当局は今、非常に難しい選択に直面している。17便への残虐行為に関する国際的な調査に協力すれば、その結果は自分たちにとって極めて厄介なものになる公算が大きい。しかし、調査を妨害したり、陰謀論をぶち上げて隠れみのにしたり、あるいはウクライナ東部に派兵したりすれば、諸外国からさらに激しい反発を招くことになるだろう。
先週、この航空機の悲劇が起こる前でさえ、米国は制裁の強化を発表していた。欧州連合(EU)も今後、ロシアに対する姿勢を強化しそうだ。ロシアの大手企業の一部は、西側の資本市場へのアクセスを失いつつある。
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