YAMATO(左)を攻めるB×Bハルク=神戸ワールド記念ホールで
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大器といわれながらチャンスを逃し続けていたB×Bハルク(34)が、ついにドラゲーの頂点に立った。ドラゴンゲートの年間最大イベントである神戸ワールド記念ホール大会(20日、観衆9650人)で、YAMATO(32)の持つオープン・ザ・ドリームゲート王座に挑戦。32分15秒に及ぶ死闘を制し、第20代王者になった。レスラーになって9年目。7度目の挑戦で悲願を達成した。
甘いマスクと178センチ、81キロの均整のとれた体。アクロバティックな動きも難なくこなす抜群の身体能力で、デビュー当時からドラゲーの未来を背負う男といわれたハルク。だが、大舞台になるとチャンスを生かし切れず、気が付けば30代半ばまできてしまった。だが、入門同期のYAMATOから「これが最後の挑戦だ」と通告されて臨んだ試合で、ようやく栄冠をつかんだ。
百戦錬磨のYAMATOは、ハルクの動きを止めるため、序盤から徹底的に右脚を攻撃。逆片エビ固めや4の字固め、さらには踏みつけと、容赦なく攻め立てた。ハルクはロープに飛ばされても走れないほどダメージが大きかった。
しかし、この日のハルクには、端正な顔の眉をつり上げるほどの、鬼気迫るものがあった。30分すぎ、脚の痛みに耐えてファーストフラッシュ(側頭部へのキック)2連発。これでほぼ意識をなくした相手を、コーナー最上段から飛ぶフェニックス・スプラッシュで押しつぶし、カウント3を奪った。
「北海道(札幌)から出てきて、ドラゲーに拾ってもらった。体は小さいし頭は悪いし…。しょっぱいレスラーかもしれない。でも、夢は必ずかなうんです」と泣きながらコメント。控室に戻っても涙は止まらなかった。
デビューから正統派として売り出したもののベルトは遠く、3年前にヒールに転向したがうまくいかなかった。だが、今年5月に再び正統派に戻ったことが成功につながった。初防衛戦の時期は未定だが、相手には土井成樹が名乗りを挙げている。
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