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タクシーの過当競争は改善すべきだが、むやみに規制の強化に走りすぎるのも…
タクシーの過当競争は改善すべきだが、むやみに規制の強化に走りすぎるのもまずい。
タクシー業界への規制を盛り込んだ「タクシー適正化・活性化特別措置法」の改正法が、ことしから施行されている。
運賃と車両の数の両面で規制を強める内容であり、自由競争という経済の原則に照らして「劇薬」とも称される。
与野党による議員立法だが、運用を担うのは国土交通省だ。時間をかけ、慎重に制度づくりを進めるべきだ。
国交省は、タクシーが過剰と判断した地域を「特定地域」に、過剰が心配なところは「準特定地域」に、指定する。
運賃は両地域とも国交省が上限と下限を決め、変更を命じられる公定幅制だ。特定地域では業者に減車の指示もできる。
過当競争で運転手の待遇が悪化し、サービスや安全がおろそかになると乗客が困る。だが、規制が厳しすぎても、業者の競争や工夫を損ねて料金が高止まりし、乗客の負担となる。
そのさじ加減がむずかしいところだが、国交省は規制強化へ前のめりな姿勢が目立つ。
全国で155の地域が指定され、車両数で見ると全体の8割を超える準特定地域では、4月に公定幅運賃制が始まった。
下限より低い運賃を届けた業者は6月時点で30近くあり、その一部は運賃変更命令を食い止めようと裁判に訴えた。
大阪、福岡両地裁は訴えを認め、命令を出さないよう仮処分決定をした。規制の強さと比べてその幅があまりに狭いため、「社会通念上妥当性を欠く」(大阪地裁)と判断した。
特定地域の指定に向けた基準づくりには、政府の規制改革会議がかみついた。国交省は、運転手の賃金水準などの指標で決める方針を示したが、それだと車両数で見て最大6割の地域があてはまる可能性がある。規制改革会議が「対象が広すぎる」としたのは当然だろう。
改正法は、国会の委員会で可決された際、安易な値上げを招かないことなど付帯決議がされた。特定地域については、影響が大きいため慎重に指定する旨の注文もつけられた。国交省はしっかり受けとめるべきだ。
指定地域では、自治体やタクシー事業者、利用者代表、識者らで協議会がつくられる。要介護者や観光客らの新たな需要にどう応えるか。歩合給に偏りがちな運転手の賃金体系をどう改善するか。課題は多い。
運賃や台数の規制や命令に走る前に、こうした幅広い問題に取り組んではどうか。
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