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 福島県本宮市の工場で2011年、階段に設置された車椅子用の段差解消機から30代の男性従業員が転落して重傷を負う事故があり、国土交通省は22日、調査報告書を公表した。事故原因は、転落防止用の遮断棒が下りて初めて動き出す通常の回路構成になっていなかったこととした。異常検知の仕組みもなく、報告書をまとめた有識者による調査部会は、再発防止の検討を国交省に求めた。

 事故は11年11月8日午前7時半過ぎに2階と1階の間で発生。段差解消機は前後にある遮断棒の1階側が上がったまま2階にあり、男性従業員は1階に車椅子とともに倒れていた。男性は頭部骨折で事故当時の記憶をなくし目撃者もいなかったため、調査部会は再現実験などで原因を調べた。

 報告書によると、段差解消機は通常、遮断棒が下りるとスイッチが入って動き出す。だが、事故機の製造保守会社のクマリフト(大阪市)では、スイッチのオフを遮断棒が下りている状態と判断する逆の回路構成になっていた。内部で異常が発生し、遮断棒が上がったまま走り出し転落事故につながったと結論づけた。

 国交省によると、クマリフトは12年6月までに同じタイプの段差解消機101台を改修。他社製で同じタイプの70台は正常を確認したという。調査部会の指摘を受けて抜本的な再発防止策を検討するとしている。