現在位置: ヤフオク! > リユース! ジャパン プロジェクト > オシャレな「物々交換パーティー」でリユースのムーブメントを! 服としあわせのシェア xChange
ファッションアイテムの物々交換パーティー「xChange(エクスチェンジ)(※1)」が全国各地に広がりつつあります。「交換」という方法でリユースのムーブメントを起こそうとしている、xChangeの仕掛け人で代表の丹羽順子さんにお話を伺いました。
2007年9月に、東京・三軒茶屋のカフェバーで開催したのがはじまりです。ロンドンの大学院で持続可能な社会作り(サステナビリティ)について勉強し帰国した直後でした。当時、日本ではあまり言われていなかったのですが、洋服を生産するのに環境負荷がかかっているということを勉強し、やみくもに洋服を買っていられないと思っていました。だけど、オシャレはしたい。「じゃ、交換すればいいじゃない」という単純な思い付きでした。実際にやってみたら大盛況ですごく楽しくて、お客さんも喜んでくれ、継続的に展開していくことになりました。
古着を段ボールに入れて扱うとそれだけで価値が下がってしまうと思ったので、ひとつひとつを丁寧に扱おうと決めていました。流木や廃材、ありものを工夫してお金をかけずにオシャレに洋服をディスプレイして楽しもうと思っていました。洋服ばかりリユースして、ほかのものを買っていたら本末転倒ですし。
また、服がどこから手元に来たのか、ひとりひとりに考えてほしいということがプロジェクトの背景にありました。このシャツの素材がどこで作られ、どういう工場で作られたとかまではわからなくても、ひとつ前の持ち主がどういう思いで着ていたかということがわかれば愛着がわくし、大切に着るのではないかと思うんです。では、それをどういう仕掛けで見せようかというとき、服との思い出を書いてもらう「エピソードタグ」のアイデアが浮かびました。
初回から続いている唯一の大切なルールが、「エピソードタグをつける」ということです。エピソードタグを書くときは、お別れの儀式というか自分とモノとの付き合い方はどうだったのだろうかと考える時間になればよいなと思いました。
たとえば、子供服やマタニティー服は一時的に着るものなのでよく交換されるのですが、「妊婦のときこの服をよく着ていて、安産で元気な子を産みました。次の方も安産でありますように」というメッセージなどが印象に残っています。
エピソードタグというちょっとした仕掛けがあることで、つながりや温かさを生み出し、人の善意というもので成り立つ社会の可能性を見いだすこともできるのではないかと思っています。
リユースをあたりまえの社会にしていくためには、xChange本部の私たちだけでは無理で、みなさんも自由に自分たちのコミュニティーで開いてください、ということで自主開催を推奨しています。「xChange」と名乗っても名乗らなくてもいいですし、ノウハウも提供します。連絡していただければウェブサイトに開催情報も載せます。なので、xChangeのムーブメント、リユースのムーブメントを一緒に広げていきましょう、と。xChangeのウェブサイトでは、自主開催をサポートするツールとして、チラシ用の画像やエピソードタグの印刷データなどを用意しています。
これまで300回以上開催されていますが、そのうち約90%が自主開催です。現在、週1回くらいの頻度で全国各地のいたるところで開催されていて、じわじわとxChangeが広がっていると感じています。開催した人も参加した人も満足度が高いので、継続して今年もやりますという方が増えています。
美容師さんたちがファッションショーと一緒に開催しても、ママたちが子育ての情報交換をしながらでも、お祭りの中や、カフェや公民館、どういうかたちでxChangeをやっていただいても構いません。「エピソードタグをつける」「オシャレにやる」「お金もうけにしない」ということ以外は自由にやっていただいています。そこに自由を残すことによって、みんなが集まってどうクリエイティブにやるかを考える過程でつながりやコミュニケーションが生まれます。オーガニックなつながりが各地域でできていかないとムーブメントは定着もしないし深まっていかない、と思います。
服も大切な資源です。着なくなった服をリユースして循環していくのに誰にでもできるシステム、身近にできるのが「物々交換」です。いろんなストリームでやっていければよいと思います。
xChangeでは古着を国内の資源として再利用するため、環境に配慮したアウトドアウエアブランドのパタゴニアの「コモンスレッズ・イニシアティブ(※2)」を通しリユースの推進を行っています。xChange本部が開催するイベントで交換されずに残った洋服は、コモンスレッズ・イニシアティブの仕組みを支えているパートナーのひとつ、「国内循環古着プロジェクト (※3)」に送付し、まだ着られる洋服はショップで販売され、ダメージがあり使用できない洋服は新しい繊維や生地にするなど、すべてのものをゴミにせず再利用しています。
自主開催の場合も、地域のリサイクルショップに持っていくなど、捨てないように、燃やさないようにということをお願いしています。
最終的に目指す世界は、「シェアする暮らし」だと思います。洋服に限らず持っている人がちゃんと差し出して、受け取る人がそれを気持ちよく受け取る。お金をかけないで豊かに暮らしていく。お金のあるなしにかかわらず、みんなたくさんのモノを持っているので、それを循環して暮らしていく世界が築けるとよいと思っています。
丹羽順子
NHKで報道記者として3年間勤務した後、ロンドンの大学院へ進学し「持続可能性とリーダーシップ」を学ぶ。帰国後は、サステナビリティを軸に活動、オシャレな古着の交換会「xChange」を主宰、鎌倉を持続可能な地域にすることを目指す「NPOかまわ」などで地域活動を展開。J-WAVE「LOHAS SUNDAY」のナビゲーターも務める。現在は、コスタリカへ移住し、子育てをしながらシンプルライフを過ごしている。
著書に「小さいことは美しい - シンプルな暮らし実践法」(扶桑社)。
ブログサイト(www.junkoniwa.net)
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