(英エコノミスト誌 2014年7月19日号)
殺戮と破壊がエスカレートしている。だが、どちらの側も勝者にはなれそうにない。
イスラエル軍の空爆を受けて黒煙が立ち上るパレスチナ自治区ガザ地区〔AFPBB News〕
パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの抹殺を――少なくとも弱体化を――目指すイスラエルの軍事行動が10日目に突入した。その間、死者の数は増え続けてきた。
報道によると、7月17日までにパレスチナ人220人以上が死亡し、少なくとも1600人が負傷したという*1。国連は、犠牲者の4分の1が子供で、4分の3以上が一般市民だと発表した。
ハマスのメンバーが所有する多くの建物を含め、560棟以上の家屋が破壊され、数千棟が被害を受けたとされる。一例を挙げると、ガザの警察署長の家が狙われ、家族17人が殺害された。ハマスの創始者の1人で、現在潜伏中のマフムード・ザッハール氏の自宅は瓦礫と化した。
ガザ地区全体で、水道・電気の供給は、最良の時でも途切れがちだったが、今や完全に途絶した。長さわずか41キロしかない海岸沿いの狭い飛び地に詰め込まれたガザ地区の住民180万人の基本食料と医薬品は、底を突きかけていた。少なくとも2万人のガザ住民が、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校に避難している。
イスラエルは、さらに爆撃を行うと警告し、10万人のガザ住民に、自宅を離れないとミサイルの直撃を受ける恐れがあると通告した。
イスラエル側が警戒するハマスの戦力
一方、ハマス側はイスラエル領内にロケット弾と迫撃砲を撃ち込み続けている。イスラエル側の発表では、ハマスおよびハマスと協力関係にある武装組織は、7月17日までに合わせて1200発以上を発射したが、これによるイスラエル側の死者はわずか1人だったという。
イスラエルは2012年11月にも今回と同様の8日間の激しい空爆でガザの動きを叩いたが、その時と比べて、イスラエル国民はハマスの武器に対する警戒を強めている。ハマスのロケット弾の大半は今でも手作りで、イスラエル側に人命に関わる損害を与えることは滅多にないとはいえ、高度な武器の備蓄は増えている。その一部は射程距離が160キロにも及ぶ。イランとシリア経由で密輸されたものだ。
イスラエルが「境界防衛作戦」と呼んでいる今回の軍事行動の開始時点で、ハマスなどの武装勢力は1万1000発余りのロケット弾とミサイルを所有していたと、イスラエルの情報機関は推定している。
*1=この記事が出た後も死者数が増え続け、ガザ当局によると、イスラエル軍の軍事作戦が始まった8日以降の死者は540人を超えた