中国・期限切れ鶏肉:日本側の甘さ指摘も
毎日新聞 2014年07月22日 22時16分(最終更新 07月22日 23時45分)
中国で発覚した期限切れ食品の問題で、日本マクドナルドなどが商品の販売を中止したことを受け、厚生労働省も食品衛生法上の問題がなかったか事実関係の確認に乗り出した。食品の安全問題に詳しい有識者からは、日本側のチェックが十分だったのか疑問視する声も出ている。
厚労省は中国大使館に対し、実際に期限切れの食品が輸入されたのかや、施設の衛生管理などの調査を求めた。健康被害の報告はないといい、担当者は「冷凍保存されていたとすれば腐敗もなく、食品衛生上問題ないかもしれないが、どのような管理状況だったのか調べる必要がある」と話す。食品衛生法上の問題が確認されれば、輸入自粛の指導などを検討する。
中国の食品事業に詳しい経営コンサルタントの太田光雄さんは「氷山の一角という印象。中国製冷凍ギョーザ事件などを受け、中国でも衛生管理の厳格化が進んでいるが、まだまだ万全ではないのが現実だ」と話す。食品業界が、仕入れ先工場の衛生管理や製造状況などを定期的に検査するのは常識だといい「マクドナルドはそうした検査をきちんと行っていたのか疑問だ。契約して終わりではなく、常に仕入れ先をチェックすることも重要だ」と指摘した。
一方、公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長で東京大名誉教授の唐木英明さんは「床に落ちた肉もそのまま使うという報道もあり、期限表示もなかった50年前の日本のようだ」と指摘。「今回は米系の工場だったと聞く。そうした理由で日本側のチェックが行き届いていなかったとしたら、責められても仕方ない」と話した。
ただ、食べた人の健康への影響については「もし、肉が腐っていたり大量の微生物が繁殖していたりしたとするなら、これまでに食中毒が続出しているはず。そうした被害報告は聞いていないので、消費者が『以前に食べてしまった。どうしよう』と不安になる必要はない」と語った。【斎川瞳、遠藤拓、安高晋】