①自由競争を是とし、格差の拡大はやむをえないとする立場
⇒新自由主義、新保守主義(ネオコン)
②大きすぎる格差や貧困を良しとせず、農村や地方を守る立場
⇒伝統的保守主義、保守左派
筆者は、②の立場をとります。
どうして、大きすぎる格差や貧困は良くないのでしょか?
大きすぎる格差や貧困は、社会の不安定化を招きます。今、ヨーロッパでは失業率が20%を超える国もあります。ギリシャの若者の失業率は60%程度です。ギリシャでは、デモなども頻発し、社会が不安定化しています。
貧困が広がると、極左(共産主義)や極右(国粋主義)など、危険かつ極端な政治を望む人が増えてしまいます。ヒトラー率いるナチスは、大不況に苦しむドイツ国民が選挙で正当に選んだ政党です。この時、同時に共産党も勢力を増しました。
貧困に苦しむ人々は、しだいに体制や国家を憎むようになります。日本国民が国を憎むなんて、悲しいことだとは思いませんか?
国民が自国や自国の体制を憎むようになると、国防上も問題があります。中国の歴代王朝は、国民が貧しい時に外部から異民族が侵入して、王朝が転覆される・・・というパターンが多かったのです。異民族自体も強力でしたが、貧困に苦しむ農民も政府を覆す大きな力だったのです。
今の日本ではありえないことだと思いますが、もし何十年か後に、今よりもずっと貧困層が多くなっていたとしたら・・・中国が日本に侵略した時に、むしろ侵略を喜ぶ人々がいるかもしれない・・・とは思えないでしょうか?
赤木智弘という人は、以下のように語っています。
夜勤バイトで8時間働き、昼は寝ている生活で月収は10万円ちょっと。だから親元にパラサイトして、ネットサーフィンしている生活。結婚していく周りの友人を横目に、フリーターを続ける彼は、耐え難い屈辱感を抱えて生きている。そして、この格差を放置している世間のやつたち(経済成長世代)に怒りを向け、こんな状況を変えるには、今の社会で何かを所有していて、私たちを見下しているやつらをあわてさせ、社会が流動化し、上下のものが等しく苦しむことになる戦争になればいいという。そうすれば逆転もあるかもしれない。そうすれば、いま上にいるやつらをひっぱたくことができるかもしれない。失うものがない若者は、戦争では失わずに、何かを得る可能性がある。それぐらい、いまの「平和な社会」では格差が固定され、将来の展望がない、と31歳フリーターの自分(赤木)は思っている。「反戦平和」というスローガンこそ、われわれを一生貧困にとどめるものだ。私を戦争に向かわせたくないなら、この格差を何とかしろ。
ワーキングプアなどで貧困に苦しむ若者の中には、リセット願望があるのではないでしょうか?これこそ、危険な極左や極右思想、戦争につながりかねないリスクであるとは思えませんか???