NMB48大型新人・須藤凛々花の“哲学愛”を哲学研究者が検証
NMB48公式サイトより Team N 須藤凛々花
「須藤凛々花ってどうなんすか、あれ?」
知人の編集者からいきなりこんな質問をぶつけられた。どうもこうも誰それ? 聞き直してみたら、AKBグループのドラフト会議で最多3チームから1位指名され、競合の末にNMB48のチームNが交渉権を獲得した大型新人、らしい。
しがない哲学好きの物書きで、別にアイドルとかAKBとか興味ないんですけど、なんで私にそれを聞く? と思ったら、どうもこの人、別の意味でも大型新人であるらしい。なんでもドラフト会議のアピールタイムでは、「偏差値67」という司会者の言葉につづいて、「夢は哲学者とアイドル」とアナウンスされ、会場全体がどよめきに包まれたというのだ。それはどよめくだろう。意味がわからなくて。
でも、そういうことか。「夢は哲学者」と聞いて、俄然、彼女に興味がわいてきたではないか。さっそくNMB公式ブログに投稿された彼女(以後ストーと呼ぶ。なんか古代ローマの哲学者みたいだ)の自己紹介を覗いてみると……あった。いま追いかけている哲学者として、ジョン・スチュアート・ミル(通称ミルルン師匠)の名が挙げられている。そしてカール・ヤスパースも「ヤスパースさんかっけー」と称えられている。なぜこのふたりなのかについては情報が不足していてよくわからない。とはいえ、わからないなりに考えてみよう。
まず、J・S・ミルもヤスパースも、まったく流行りとはいえない(だが、きわめて重要な)哲学者という点で共通している。これは、本当に哲学が好きなのだろうと思わせる人選であり、たいへん好感がもてる。これが第一印象だ。
J・S・ミルは19世紀イギリスの哲学者である。さまざまな分野で業績を残した巨人だが、とくにその政治哲学は後世に大きな影響を与えた。でもそんな説明ではピンとこないだろうから、次のことを考えてみよう。あなたは雑誌を読んだり物を食ったり人とつるんだりする。そんなあなたの自由は、それが他人に危害を加えるものでないかぎり、原則として守られなければならない。競馬でオケラになる愚行の自由すら守られなければならない、と。当たり前だ、そうでなきゃ困るじゃないかと思うかもしれないが、このような考えが当たり前のものになったのは、彼のおかげなのである。彼はこの考え(「危害原理」と呼ばれる)を、人類史上はじめて定式化して世に問うた。いま私たちがある程度の自由を享受できているのは、ミルルン師匠と後継者たちの努力の結果なのだ(そして、そうした自由のない国や地域もあるし、かつてこの国もそうだったし、いまでもそれが脅かされることがあると思い起こすことも、また大事なことだ)。
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