(2014年7月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
写真左の中国国営中央テレビ(CCTV)社屋は、その形状から「ズボン」と呼ばれる〔AFPBB News〕
突然姿を消す人、説明されずに空っぽになっている放送番組の席、使われていないマイク、放置されたままのツイッターのアカウントは、放送の独占企業、中国国営中央テレビ(CCTV)で何か極めて大きな問題が生じていることを示唆している。
北京外国語大学でジャーナリズム学を教える展江(チャン・チャン)教授によると、CCTVの同僚らの話では、同社の金融ニュース担当ディレクターが6月初旬に逮捕された後、職場に姿を現さなくなった人が過去1カ月半で少なくとも8人いるという。
注意深く事態を観察している人たちは、CCTVの汚職疑惑に対する広範な捜査が進められる中、残りの人たちも取り調べのために拘束されたのではないかと考えている。
突如姿を消した有名キャスター、スタジオの席は空っぽのまま
姿を消した人の1人が、中国で最も有名なニュースキャスターに数えられる芮成鋼(ルイ・チョンカン)氏だ。最後の番組出演から6日経っても、同氏の運命に関する公式コメントは出されていない。芮氏は7月11日に何の説明もなくテレビ番組から姿を消した。中国版ツイッターに当たる「新浪微博(ウェイボ)」のアカウントから「もうすぐ放送でお会いましょう」とつぶやいた翌日のことだ。
経済ニュース番組「経済信息聯播」のスタジオでは、芮氏の席とマイクが空っぽのまま残され、共同司会者の女性が芮氏の不在に全く触れずに番組を進行した。その翌日、中国共産党機関紙の人民日報は、芮氏は汚職容疑で検察に拘束されていると発表した。CCTVに電話したところ、誰も出なかった。
芮氏の同僚で、中国で一番若いニュースキャスターの欧陽智薇(オーヤン・ツィーウェイ)氏も6月11日以降、担当している朝のニュース番組「第一時間」に出演しておらず、微博に残した最後の投稿の日付は6月6日だった。新京報は、7月16日に電話でコンタクトした複数の同僚は彼女の居場所を知らなかったと報じている。
2人とも、6月初旬に汚職容疑で逮捕されたCCTVの広告および金融ニュース部門トップ、郭振璽(グオ・ジェンシー)氏の捜査の一環として標的にされたようだ。報道によると、郭氏とともにプロデューサーの田立武(ティエン・リウ)氏も逮捕されている。
一連の粛清は、習近平国家主席が今年着手した大規模な汚職撲滅運動を背景として行われている。大勢の共産党幹部が党員資格を剥奪されている一方、捜査当局は軍部の汚職追及にも乗り出し、中国人民解放軍の元首脳の徐才厚(シュー・ツァイホウ)氏の取り調べに着手している。