2014-07-22

MySQLを商用利用すると無料で使えないという都市伝説

MySQLに限らないけど、「GPL営利目的では使えない的な思い込み」は止めて欲しい。

先週、システム開発の提案で客先に行ってきた。

当方、30前半のSE対応してくれた担当者40代後半の情報システム部門の方。

提案したシステムの規模はそれほど大きくはなく、お客さんからもあまり予算はないと言われていたため、RDBMSに「MySQL」を使ったWebシステムを提案したところ、「それほど可用性は求めてないし、無料で使えるDBの方がいい」と言われた。

あぁ、商用ライセンスを購入すると勘違いしたんだな、と思ったので、「MySQLGPLライセンスもあるので無料で使うことができますよ」と説明したところ、担当者の顔が険しくなった。

GPLだとソースコードを公開しないといけないんだよ?たとえMySQLソースコードを改変していなくても、MySQLを使ったソフトウェアであればソースコードを公開しないといけないし、それを企業で使おうとすると犯罪になるよ。」

「だからウチでは重要システムOracleを使っているし、重要度が低いシステムPostgreSQLを使ってる。」

たまたま提案先がウチだからいいものの、他の企業にそんな提案すると恥をかくし、あなた会社の信用も堕ちる。」

いろいろ言われたけど、要約するとこんな感じ。


「確かにGPLだと他の誰かにMySQLを使ったソフトウェア頒布する場合ソースコードも渡さないといけないですが、今回は御社に導入するWebシステムですから問題ないですよ」

とは返したものの、

Webシステムなのが問題なんだ。システムを使う人にソースコードを公開しないといけないんだよ。TOPページとかにリンクを貼るの?ソースコードはこちら、みたいなの。ありえないよね?」

システムを使った社員ソースコードを持って帰って公開したらどうなるの?機密情報流出だよ。」

と捲し立てられてしまった。

心の中では「Webシステムだと利用者全員にソースコード公開とか、なわけねーだろ」と思いつつも、相手の勢いがスゴいし反論するための明確な情報を持っていなかったので一旦持ち帰って再検討することになりました。


http://www.ipa.go.jp/files/000028332.html

英語が苦手なのでIPAが公開しているGPLv3の日本語訳で確認したところ、「0. 定義」の項目に以下の文言があった。


著作物の「コンベイ」(convey)とは,プロパゲートに当たる行為のうち第三者が複製すること又は複製物を受領することを可能にする行為をいう。ただし,コンピュータネットワーク上での単なるやりとりであって複製物の伝送を伴わない場合は,コンベイに当たらない。



そりゃそうだよね。てかWebシステム利用者ソースコードを公開しないといけないとか誰が言い出したんだよ。


で、結局提案はPostgreSQLに変更しました。ライセンス云々関係なくPostgreSQL統一されているんだったら運用コスト面でその方がいいし、MySQLを提案したのは俺がPostgreSQLより得意だからってだけだから

ライセンスについては調べたことを担当者に伝えるかどうか思案中…。

ここまで捲し立てられたのは初めてだったけど、今までもお客さんからGPLだけど商用ダメなんじゃないの?」って言われたことが多いんだよね。

もう一度言うが

GPL営利目的では使えない的な思い込み」は止めて欲しい

トラックバック - http://anond.hatelabo.jp/20140722001658