糖質制限の事を深く知っていけばいくほど,
現在の医療に疑問を感じる事も多いです.
これまでの医学の歴史の中で培われてきた有用な医療というのは確かにあるはずですが,
どこまでが正しくて,どこまでが誤っているのか,
自分の頭で考えて見極めていく必要があると思います.
そんな中,また本屋を何となく見て回っていると,
次のような本を見つけました.
世の中にはびこる,正しいようで正しくない医学,いわゆる「ニセ医学」について書かれている本です.
この本の目のつけどころはいいと思います.
しかしその書かれている内容については疑問を感じる所が多々あります.
とりわけ,食事療法については次のような事が書かれていました.
(以下,引用)
~がんに食事療法は有効?~
(前略)
現時点において,「がんを治す」と称する食事療法に科学的根拠はない.
特に標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うものは,例外なくすべてインチキである.
ある食事療法で推奨されている食品が,別の食事療法では避けた方がいいとされている場合もあるが,
それぞれに科学的根拠なく提唱しているので,食い違いが生じるのも不思議ではない.
(引用,ここまで)
この意見には私は反対です.
食事はがんの発生に大きく影響を与える事は明らかです.
なぜならその根源には酸化ストレスという現象があり,
食事は酸化ストレスを増やしたり,減らしたりするからです.
確かに,たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います.
でもだからといって,食事療法は全てインチキだと切り捨てる姿勢はどうでしょう.
どうすればがんを制御できるのか,がんをコントロールするために最も適した食事の在り方は何なのか,
わからないなりにもその方法を考えるという事は決して無意味なことではありません.
糖質制限が無理ならケトン食,ケトン食が無理なら断食,
そのように実践と検討を重ね,新しい科学的根拠を作っていけばよいのではないでしょうか.
またこの本には次のような事も書かれていました.
(以下,引用)
「お金持ちや専門家しか知らない秘密の食事療法が存在する」と考える人もいるようだ.
だが,アップル社を設立したスティーブ・ジョブズ氏の死因を思い出してみよう.
報道によると,2003年に膵臓がんと診断されたとき,ジョブズは手術を受けず,菜食や有機ハーブなどの食事療法を含む民間療法を試したそうだ.
しかし,9か月後の検査でがんの増悪がわかり,ようやく手術を受けたという.
あのジョブズ氏がアクセスできなかった秘密の情報が,存在するだろうか.
(引用,ここまで)
著者の方は大きな見落としをしています.
確かにスティーブ・ジョブズ氏はあらゆる情報にアクセスする事ができた情報化社会の智の巨人であったかもしれません.
しかしジョブズ氏の頭の中にあった「野菜はヘルシー」という常識の壁,
その壁こそがジョブズ氏が到達できなかった最大の要因だったのではないでしょうか.
いかに大きな力を持っていようとも,
常識の壁を打ち破る事ができなければ,
目の前にある情報を手に入れることはできないのだと思います.
それは一般的に頭がよいとされる医師の大半が糖質制限を認めていない現状を見てもわかることです.
頭の良し悪しは,さほど問題ではありません.
大事なのは,「変われる脳」を持っているかどうかだと思います.
このようになかなか賛同できない部分も多い本でしたが,
見方を変えれば,こういう本は「自分で考える力」を鍛えるよいトレーニングにもなるように思います.
書かれている内容を批判的に読むことで,自分自身の理解をより深めていく手法です.
このような作業を蓄積していき,新しい医療の形を具現化していきたいと思っています.
たがしゅう
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たがしゅう先生、こんにちは。
著者の内科医の先生は、ブログも書いており、近藤誠先生がテレビ番組で統計を使ったインチキを解説していると指摘していました。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20140716
著者の先生の指摘は納得できるのですが、ただ、これだと数字のトリックがあるというだけで、近藤先生の「がんもどき」の理論が間違っているとは言えないと思います。
ガンを放置しても、転移しないガンがあるのかどうかを確かめるには、実際に放置療法をして継続的に観察しないと難しいと思うのですが。
統計だけでは事実を知ることはできないと思います。
進化論 vs 創造論 の関心から以前 natrom氏のブログを覗いてました。
コチコチな人ですね。。
進化論の問題は重要なテーマですが。
何を選ぶかはその人のセンスだと思います。
金持ちだとかそういうのも多少は特別な情報が入ってきたりするかも知れませんが最後にそれを受け取れるかどうかは個人のセンス(周波数)だと思います。何を言っても受け取れない方もいます。それは、その人が情報に周波数を合わせる事ができないのだと思います。
いきなりのコメントすみませんでした。
たがしゅうさん
NATROMさんのHPは一時期読んでましたが、頭が良い方だとおもいました。ただいつものごとく糖質制限はやってみないとわかりません。車の運転と同じで、免許持ってない人に下手糞といわれてるのと同じですね。
まあそれはともかく、糖質制限そのものに抗がん作用がなくても、手術後の回復、放射線や抗癌剤の副作用を減らすことは十分期待できると思います。
ミスターT さん
コメント頂き有難うございます。
私は近藤誠先生のスタンスには基本的に賛成です。
ただし、がんは放置するだけでは不十分だと考えています。標準治療と比べてマシというだけで治療法としては片手落ちだと思います。
やはり食はがんに対する最大のアプローチとなりうると思いますが、予防ならまだしも治癒を目指すなら糖質制限でもまだ足りないと思います。がんは一度できてしまうと糖質制限の考えを以てしても非常に難敵です。
> 進化論 vs 創造論 の関心から以前 natrom氏のブログを覗いてました。
> コチコチな人ですね。。
そうなのですか。
私は氏のブログを読んだことがありませんので、今度読んでみようと思います。
まさくん さん
> 何を選ぶかはその人のセンスだと思います。
同意見です。
決して頭の良し悪しや、権力の有り無しの話ではないと私は思います。
SLEEP さん
コメント頂き有難うございます。
> 糖質制限そのものに抗がん作用がなくても、手術後の回復、放射線や抗癌剤の副作用を減らすことは十分期待できると思います。
そうですね。
私も難病態に対して、少なくとも悪いことはしないだろうという考えの下、私は積極的に糖質制限を取り入れるようにしています。
たがしゅう先生、こんばんは。
返信ありがとうございます。
>ただし、がんは放置するだけでは不十分だと考えています。標準治療と比べてマシというだけで治療法としては片手落ちだと思います。
確かにそうですよね。
放置だけでは希望がないですもんね。
虫垂炎のように治療を受けたら、ほぼ治るような状況になれば、安心してガンの治療を受けれるのですが。
こんにちは。NATROMと申します。拙著を読んでいただいてありがとうございます。「食事療法は全てインチキだと切り捨てる姿勢はどうか」とのご意見ですが、おそらくはたがしゅうさんが誤解されているように私には思われます。私の主張は、
・「標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うもの」
がインチキであると言っているのであって、がんの発生や再発の確率を低下させたり、がんの治療の副作用を減らしたりする食事が存在する可能性は否定していません。たがしゅうさんも「たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います」と書いている通りです。
糖質制限なりの、何らかの食事方法が、がんの治療に役立つ可能性があれば、それこそ「実践と検討を重ね,新しい科学的根拠を作っていけばよい」のです。科学的根拠も無い段階で「食事療法単独でがんを治す」と謳うことは、そうした科学的根拠を作っていくというご意見と真っ向から対立すると私は考えるのですが、いかがでしょうか。
NATROM 先生
コメント頂き有難うございます.
著者の先生から直々にコメントを頂くとは恐縮です.
> 「標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うもの」が例外なくすべてインチキである
先生の意図は理解しました.確かに巷にあふれるがんを治すという食事療法の中には科学的根拠のない怪しいものも多いですからね.
ただ「例外なくすべてインチキ」と言い切るのはやはりどうかと思います.
糖質制限に関して言えば,がんに対する有効性を示す科学的根拠はあります.
例えば,食後高血糖,高インスリン血症は明確な発がんリスクですが,
糖質制限によってそのリスクを確実に減らす事ができます.
一方で,確かに現時点で糖質制限にがんを確実に予防・治療する疫学的根拠はありません.
しかし理論的根拠はあるので,疫学的根拠のない段階でも実践し続けるだけの価値がある食事療法であり,決してインチキではないと私は考えています.
また私が申し上げている「たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います」という言葉の真意は,
糖質制限の延長戦上にがんを制御する食事療法がきっとあると思うということであり,その行先は決して現在の化学療法,手術療法,放射線療法といった「標準医療」ではないのです.
なぜなら標準医療は全て対症療法の類であり,何一つ原因に根差した根治療法となりえていないからです.
つまりNATROM先生と私とのスタンスの違いは,「がん治療において標準医療を基本におくべきか否か」という所の違いにあるのではないかと思います.
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