ガザ地区の戦闘 死者500人超す7月21日 19時01分
パレスチナ暫定自治区のガザ地区での地上作戦を進めるイスラエル軍は、東部への集中攻撃に続いて、21日、南部の町にも激しい砲撃を行うなど軍事作戦を継続させる構えを見せていて、一連の戦闘による死者が500人を超え、犠牲者が増え続けています。
イスラエル軍は21日、イスラム原理主義組織ハマスが築いた地下トンネルを破壊するとして、こうしたトンネルが数多くあるとされるガザ東部への集中攻撃に続いて、南部の町への砲撃を強化しました。
ガザの保健当局によりますと、イスラエル軍の侵攻が始まった17日以降の4日間で235人が死亡し、一連の軍事作戦による死者は、身元が分からない人も含めると500人を超え、市民の犠牲は地上戦が始まって以降、急激に増えています。
一方、ハマス側も奇襲作戦などで応戦し、イスラエル軍によりますと、20日夜から21日にかけて軍の兵士13人が新たに死亡したほか、21日、ハマスの複数の戦闘員がガザ北部のトンネルを使ってイスラエル側に侵入し、一部の行方が分からなくなっていて、捜索が行われているということです。
イスラエルのネタニヤフ首相は20日、記者会見で、「ガザにあるハマスの施設に重大な損害を与えるまで作戦を続ける」と明言し、軍事作戦を継続させる構えを強調していて、激しい戦闘が続いて犠牲者がさらに増える懸念が高まっています。
各国の利害関係が対立
ガザ地区での戦闘が激しさを増しているにもかかわらず、停戦に向けた国際社会の調停が進まない背景には、ハマスとイスラエルを取り巻く各国の利害関係が対立していることがあります。
このうち、国連のパン・ギムン事務総長が今回の中東訪問の最初の国として訪れたカタールは、ハマスを財政的にも政治的にも支援し、ハマスの事実上の最高指導者ハレド・マシャル氏の滞在も認めています。
また、トルコもハマスを支持していて、エルドアン首相はイスラエルを強く非難する発言を繰り返しています。
一方、中東和平交渉の仲介役を長く務めてきたエジプトは、去年の事実上のクーデターを経て、イスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ大統領の政権から、ムスリム同胞団を敵視するシシ大統領の政権に変わりました。
エジプトのムスリム同胞団とハマスは兄弟関係と言われるほど深いつながりがあり、シシ政権は、こうした関係に強い警戒感を抱いています。
エジプトが先に示した停戦案にハマスが拒否した背景には、こうしたシシ政権の姿勢に対する強い不信感があるとみられています。
また、サウジアラビアやアラブ首長国連邦も、ハマスのようなイスラム勢力を警戒し、積極的な調停の動きを見せていません。
このように、中東諸国の中で、ハマスを支援する国と警戒する国に分かれ、足並みが乱れているのが実情です。
一方、アメリカは、ハマスを「テロ組織」とみなして敵視し、中東での最大の同盟国であるイスラエルに対して、多額の軍事支援も行っています。
また、国連の安全保障理事会の場でも一貫してイスラエルを擁護しているため、安保理が、停戦に向けて一致して強い姿勢をとることを難しくしていると指摘されています。
ハマスとイスラエルを巡る各国の思惑が対立し、国際社会の調停が難航しています。
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