これら一連の状況を目の当たりにした韓国の知識人たちは「100年前の状況が再現するのではないか」と恐れている。しかし今の状況を100年前と表面的に比較する必要はない。現在の韓国は100年前の朝鮮ではない。もちろん決して満足できるレベルではないが、われわれは経済力において中国や日本に一方的に無視されるような立場ではなく、また軍事力においても米国の後ろ盾もあってその実力はある程度認められている。文化的、あるいは政治的にも力なくやられるような弱い国ではない。ただし国力をある程度高めるべき課題も抱えている。
100年前と異なるもう一つの要素は米国の存在だ。一部では米国について「アジアで沈む太陽」のように見る傾向があり、また「米国が今後も韓国の後ろ盾になってくれる保証などない」という声もある。とりわけ極左勢力はこの機会に反米的な活動をさらに活発化させ、米国に対して韓国から完全に背を向けさせることを諦めていない。しかしわれわれが「腹背の敵」をけん制するに当たっては「米国以外に突破口はない」という思考を戦略的に持ち続けることが重要だ。中国と日本は5000年の歴史の中で常に韓国の地をじゅうりんし、時にはそのまま飲み込んでしまうこともあった。しかし米国は少なくとも韓国の地を奪おうとする欲を示したことはない。またわれわれは中国と日本に挟まれた5000年間常に貧しかった。食べることに不自由しなくなったのは光復(日本による植民地支配からの解放)後のわずか60年のことだ。しかもそこには米国の支援があった。わが民族は米国を通じて中国と日本の勢力から抜け出して大洋に進出し、それによってついに太陽の光を自ら目にすることができた。われわれはそのような次元で米国を善意を持って「利用」すればよいのだ。
われわれは中国と日本の勢力圏、あるいは「落とし穴」の中に居続けてはならない。ただしそれには重要な前提がある。中国と「親戚」のように過ごすと同時に、日本とは決して恨み合ってはならないという点だ。われわれは外交面で表向きは虚勢を張り、その裏では周辺の強大国の求めに簡単に応じるという今までと同じような行動パターンを繰り返してはならず、むしろ周辺国からは憎たらしく思われるほど弱いふりをした方が良いだろう。その一方で内心では「何をどのようにやるべきか」について今からしっかりと自分の考えを持っておかねばならない。