村民が増えすぎた人口を他サービスに追い出し移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。村の周りの巨大な人工SNSは村民の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして村には帰らないまま死んでいった。
はてな世紀トリプルオーナイン(0009)、村から最も遠い港区芝大門アーバニストはジェネスタ(Generalstab)公国を名乗り、はてな村連邦政府に独立戦争を挑んできた。この一ヶ月あまりの戦いでジェネスタ公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。
村民はみずからの行為に恐怖した。戦争は膠着状態に入り、八ヶ月あまりが過ぎた
「どーしよどーしよ。」
一部の古参村民たちは動揺していた。
はてな世紀0009年7月14日に開かれた斎藤一派の決起集会は、古参村民と非モテ連合による激しい抵抗により失敗に終わった。この裏で、村長による工作活動が行われていたことはあまり知られていない。参加者の一部を抱き込み、斎藤一派への攻撃をしかけていたのだ。連邦軍はオフパコの姫を沖縄の守り神へと捧げ、犠牲とした。
しかしながら、今後もジェネスタ公国率いるサイバーメガネはカラースターを配りまくり、村民懐柔政策へと走るだろう。すでに虫の息となったサードブロガー隊にすら手を差し伸べ、取り込もうとしている。古参村民が叩き潰したサードブロガー隊が再び息を吹き返せば厄介な存在になるだろう。村を荒らしていたサードブロガーたちを苦々しく思っていた日々を古参村民たちは決して忘れない。それはまるで70年前の戦争で、敵対した覚えも無いのに被害者面している韓国民のようだった。そう、古参村民は執念深いのだ。
名ばかり村長であるヨークシャテリアはそんな古参村民の突き上げをくらい、渋々寄り合いを開くことになった。もちろん斎藤一派には内緒だ。
村長は昔からこういうところがある。裏でこそこそと動き回り、策士を気取るのだ。また、自分から村長と名乗ったわけではないと言いながらも決して村長という肩書きを自分から捨てる事はない。悲しいかな、村長は村長という肩書きを誇りにすら思っているふしがある。器じゃない小者であることは自覚しながらも。
会合当日、大物気取りの村長は当然皆より遅れていった。
「えー、きょうみなにあつまってもらったのは。。。」
「斎藤一派を潰せ。」「ジェネスタ公国と全面戦争だ。」
はてウと呼ばれる人たちからの威勢の良い怒号が村長の挨拶をかき消した。
村長はやれやれと思いながら、机上に並べられた錆びた手斧を眺めた。もうそんな武器で戦える時代じゃないんだよ。。。と思いながら。
「えまあ、とりあえず今後のはてな村運営をどうするか、というのを最初の議題としたい。」
「そんなことより、集団的自衛権の解釈を変更し、はてな村民が危険にさらされた場合、先制攻撃できるようにしよう!」
最右翼の古参が口火を切った。
「いや、世界がそれを許さないぞ。」
はてサがわめきたてる。
「世界ってどことどこだ?中国と韓国だろ!!」
はてサはだんまりを決め込む、かと思いきや、別の詭弁を用意していた。
「われわれは、「あの日から、パパは帰ってこなかった」というキャンペーンを展開中だ。戦争は良くない。たとえわれわれが殺されても、世界に反撃してはいけない。」
「だから世界ってどこなんだよ!!」最右翼の古参はついに激怒した。
村長は「やれやれ」と思わず口にしてしまった。
寄り合い開始からすでに四時間が経過しているにも関わらず、各人、自己紹介と他の村民の陰口しか叩いていない。内輪揉めしている場合じゃないのに。。。SNSの台頭で諜報活動もすぐ表にでてしまうし、この村の寄り合いが単なる陰口大会でしかないことも数時間後には暴露されるだろう。ほんとうはこんな村の村長なんてやっていたくない。しかし、おれは村長という肩書きにすがり続けなければ、一目置かれなくなってしまう。そんなのはイヤだ。たとえ老害と呼ばれようと、おれは村長という肩書きを捨てないぞ。
村長は意志を固くし、「「はてな女子」「はてな小町」を取り込んだらどうか?」と深く考えもせずに言った。
「「はてな女子」は非実在女子の集合体だろう。村にはもはや「はてな小町」しか残っていません。」
すると、諜報活動をメインとしている古参村民の一人が反論した。
「でわどのようにジェネスタ公国を迎え撃つのか?」
威勢よく他村民の陰口を叩いていた全員が沈黙した。
つづく。