大病院外来:紹介状なしだと定額負担 厚労省方針

毎日新聞 2014年07月07日 21時51分(最終更新 07月07日 23時48分)

 厚生労働省は7日の社会保障審議会医療保険部会(厚労相の諮問機関)で、紹介状なしに大病院の外来を訪れる患者に対し、従来の定率の自己負担(1〜3割)に加えて、定額の負担も求める案を示した。1回につき数千円〜1万円程度を想定している。また、1食あたり260円を徴収している入院中の食費の自己負担を200円程度引き上げ、460円程度とする方針も伝えた。どちらも早ければ2016年1月から始める。

 かかりつけ医などの紹介状なしに「念のため」大病院を訪れる患者は後を絶たず、大病院が救急対応など本来の役割を十分果たせない弊害も出ている。このため厚労省は、自己負担を増やすことで軽症患者の足を大病院に向かわせないことにした。医療費の7〜9割には保険が適用されるが、紹介状がなければそのうち数千円〜1万円程度分は保険適用せず、自己負担とする案を軸に検討している。

 200床以上の大病院(2657施設)は現在も紹介状のない患者から特別料金を上乗せ徴収できる。ただ、義務化されておらず、初診時に徴収しているのは半分以下の1204施設。料金も200〜8400円(平均2085円)とバラバラだ。新たな定額負担は徴収が義務づけられるほか、現在の特別料金も別途、上乗せできる。

 また同省は、入院時の食費の値上げも打ち出した。

 入院中の食費は朝、昼、夕とも1食640円と定められている。「食事も治療の一環」との考えから、一定所得以上の人の場合、380円分は保険で賄われ、残り260円(材料費相当)が自己負担となる。12年に保険で賄われた食費は計4800億円。

 しかし、慢性病患者向けの長期入院施設(療養病床)に入る65歳以上の人は、調理費相当分も含め460円を負担している。厚労省は公平性や医療費の抑制を考慮し、一般入院患者の負担も療養病床の高齢者並みとすることにした。

 ただ、低所得の人の負担は増やさない。住民税非課税世帯の人の場合、1食210円で、入院が90日を超すと160円に軽減されている。今後もこの水準を維持する。【佐藤丈一】

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