ビッグデータ:TRON陣営とMS提携 位置情報を活用
毎日新聞 2014年07月07日 22時32分(最終更新 07月08日 10時06分)
坂村健東京大教授が所長を務めるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所と日本マイクロソフトは7日、政府や自治体、公共交通機関が保有する膨大なデータ(ビッグデータ)の活用と、照明機器やヘルスケア機器などさまざまな機器をインターネットにつなぎ、それらの機器から発生するデータを蓄積・活用するIoT(インターネット・オブ・シングス、モノのインターネット)の基盤づくりで提携すると発表した。
具体的には、2020年の東京オリンピックに向けて、海外からの観光客がスマートフォンで飲食店を検索すると、位置情報を基に最寄りの飲食店情報を母国語(43カ国語対応)で表示するリアルタイムのサービスなどを開発する。このサービスは、スマホなどを持った利用者がいる場所の地図や口コミ情報を提供するYRPのサービス「ココシル」と、マイクロソフトの自動翻訳技術を組み合わせることで実現可能だという。
坂村所長は、産業機械の制御装置などで多く使われるリアルタイムOS(基本ソフト)「TRON」の開発を率いた。パソコンで大きな市場シェアを持つOS「ウィンドウズ」を擁するマイクロソフトとTRON陣営との提携は、十分な成果を上げられなかった携帯情報端末向けのウィンドウズCEでの提携以来、約10年ぶり。
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は2002年に設立された。身の回りのあらゆるものに通信機能を備えたマイクロコンピューターやセンサーを埋め込み、それらが情報交換しながら協調して動く「ユビキタス・コンピューティング」の実現を目指し、基盤となる次世代通信システムの開発などを手がけている。【尾村洋介/デジタル報道センター】