北朝鮮制裁:一部の解除を閣議決定 船舶入港禁止など
毎日新聞 2014年07月04日 10時40分(最終更新 07月04日 13時13分)
政府は4日午前の閣議で、北朝鮮に対し独自に実施していた制裁の一部解除を決定した。人的往来や送金に関する制限を解き、人道目的に限定して北朝鮮籍船舶の入港も認める。北朝鮮による拉致被害者らの安否に関する再調査の開始を受けた措置となる。
菅義偉官房長官は記者会見で、拉致被害者らについての北朝鮮の特別調査委員会の設置について「外務省を通じて確認できている」と述べた。
閣議では、全面禁止していた北朝鮮籍船舶の入港について、医療品の輸送など人道目的に限り解除を決定した。併せて、北朝鮮籍者や当局職員の入国禁止▽北朝鮮への日本人の渡航自粛など人的往来の制限▽北朝鮮への10万円超の現金持ち出しの届け出義務と300万円超の送金の報告義務−−の制裁も政令改正などにより解除。菅官房長官が発表した。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の幹部らが北朝鮮に行き、再入国することが可能になる。送金規制は3000万円超、現金持ち出し規制は100万円超となり、他国と同じ基準となる。
北朝鮮が重視する貨客船・万景峰(マンギョンボン)号など人道目的と認められない船舶の入港禁止や、北朝鮮との輸出入の禁止、航空チャーター便の乗り入れ禁止などの制裁は継続する。国連安全保障理事会の決議による、ミサイル開発に関与する団体・個人の資産凍結なども続ける。
北朝鮮が設置する特別調査委は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記側近の国防委員会幹部が就き、国家安全保衛部、人民保安部などが主体となる。政府認定拉致被害者や拉致の疑いが排除できない特定失踪者の安否のほか、北朝鮮による帰国事業で渡航した日本人配偶者や、第二次世界大戦前後に北朝鮮で亡くなった日本人の遺骨などの調査も並行して行う。【福岡静哉】
◇日本が解除する主な対北朝鮮制裁
<人的往来>
・北朝鮮当局職員の入国の原則禁止
・日本から北朝鮮への渡航自粛要請
・北朝鮮籍者の入国の原則禁止
<送金・現金持ち出し規制>
・10万円超の北朝鮮への現金持ち出し(携帯輸出)の届け出義務
・300万円超の北朝鮮への送金の報告義務
<北朝鮮船舶の入港禁止>
・人道目的での北朝鮮籍船舶の入港禁止