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 勤務中に熱中症で死亡した人が昨年までの5年間に124人にのぼることが厚生労働省のまとめで分かった。暑さに慣れていない作業初日や2日目の発症が多く、糖尿病など疾患のある人も4割と目立つ。4割が単独作業中で、発見の遅れもリスクを高めていた。

 厚労省が、派遣や短期雇用の労働者も含めた労災死亡事例を分析した。屋内外ともに高温多湿な職場で体温が上がり、重い脱水症状などに陥っていた。発症時期は、新しい勤務場所で働き始めた初日が21人(17%)、2日目が15人(12%)だった。3日目10人(8%)、4日目6人(5%)、5日目3人(2%)と減っていく。

 三重県の40代男性は昨年8月、作業初日の太陽光パネル点検中に不調を訴え、死亡。兵庫県の派遣業の30代男性は昨年8月、倉庫で作業中に2日目に倒れて死亡した。同省によると、暑さに慣れない間は発汗が少なく熱が下がりにくい。

 48人(39%)は糖尿病や高血圧など持病を抱えていた。岐阜県のトラック運転手男性(当時71)は昨年7月、荷下ろし後に意識がもうろうとし、4日後に死亡した。男性は糖尿の傾向があり、糖と一緒に水分が多く排出され、脱水症状になりやすかった。

 単独作業での死者も45人(36%)と目立つ。富山県高岡市では昨年7月、池の水質検査をしていた会社員男性(当時45)が予定時間に戻らず、発見されたが死亡。神奈川県で昨年7月、配達中の40代男性が路上で車に寄りかかっているのを通行人が発見したが、死亡した。神奈川労働局は「1人の作業は異変に気づきにくい」という。

 年代は50代が32人と最多で、30代と40代がともに30人、20代は7人、10代も4人いた。業種別では建設業が48人、製造業が21人、警備業10人、農業9人、林業と運送業が6人だった。