ロシア 影響力行使の動き見せず7月20日 18時40分
ウクライナ東部で、マレーシア航空の旅客機が撃墜された事件で、各国からロシアに対して親ロシア派の武装集団への影響力を行使するよう求める声が強まっていますが、ロシア政府は、今のところ具体的な行動は見せておらず、遺体の確認作業などには依然大きな進展が見られていません。
乗客乗員298人を乗せてオランダからマレーシアに向かっていたマレーシア航空の旅客機は、ウクライナ東部ドネツク州の上空で17日、撃墜され、全員が死亡したとみられています。
ウクライナ政府は、380人の捜索隊が現地で活動しているものの、800人を超える親ロシア派の武装集団がいて、真相解明や遺体の収容活動が妨害されていると主張しています。
こうした状況に、最も多い193人が搭乗していたオランダのルッテ首相は19日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、親ロシア派に対して直ちに影響力を行使すべきだと強く迫るなど親ロシア派の後ろ盾となってきたロシア政府に対する批判が強まっています。
こうしたなかで、犠牲者の遺体の収容や原因究明を指揮するためウクライナ政府が東部のハリコフ州に設置した「危機対策センター」で会見が行われ、冷凍車両を墜落現場の付近に待機させ、遺体の搬送準備を進めていることを明らかにしました。
また、ウクライナ政府は、親ロシア派の武装集団が墜落現場から運び出した遺体について、政府側に引き渡すことで、親ロシア派とおおむね合意したと発表しました。
しかし、最終的に遺体をいつ、どこに搬送するかなど具体的なことは明らかになっておらず、家族による身元の確認が順調に進むかどうか、依然不透明な情勢です。
こうしたなかで、今後、各国からロシアへの批判がさらに強まることも予想されます。
ナジブ首相の親族も死亡
撃墜されたマレーシア航空機の乗客の中に、マレーシアのナジブ首相の親族も含まれていることが分かり、衝撃が広がっています。
これはナジブ首相が自身のツイッターで明らかにしたもので、「私はマレーシア航空17便に搭乗していた方たちの家族と悲しみを共有します。私の義理の祖母も乗客の1人でした」とつづっています。
撃墜された旅客機には乗員を含む43人のマレーシア人が搭乗していて、ナジブ首相の親族も含め、犠牲者の家族の多くはクアラルンプール近郊のホテルに待機して、捜索の状況など現地からの情報を待っているということです。
20日、このホテルにはマレーシアの閣僚も訪れ、犠牲者の家族に面会して慰めのことばをかけていました。
遺族たちは涙を流しながら、できるだけ早く犠牲者の遺体を家族の元へ戻すよう働きかけを求めたということです。
国際エイズ会議でも追悼
エイズに関する最新の研究や対策などについて話し合う国際エイズ会議が20日からオーストラリアで始まり、この会議に向かう途中にマレーシア航空機の撃墜で犠牲になった研究者らを追悼しました。
国際エイズ会議は、世界各地のエイズ研究者をはじめ政府やNGOの関係者などが参加して2年に1度開かれるもので、20日からオーストラリアのメルボルンで始まりました。
日本時間の20日午後6時すぎから行われた開会式では、ウクライナ東部で撃墜されたマレーシア航空機に搭乗していた研究者や国際機関の職員など会議に出席する予定だった6人の犠牲者について、エイズ撲滅に尽くした功績をたたえたあと、出席者全員が立ち上がって黙とうしました。
犠牲となった6人の中には、WHO=世界保健機関でエイズと結核の合併症の対策に取り組んでいた職員も含まれていて、WHOの中谷比呂樹事務局長補は、「彼の遺志を継いで、エイズと結核の合併症による死亡への対策づくりを進めたい」と話していました。
[関連ニュース] 自動検索 |
・ 親ロシア派が遺体の捜索制限 批判強まる (7月20日 12時17分) |
[関連リンク] |
|