北朝鮮制裁:政府、一部解除を決定 拉致調査に実効性
毎日新聞 2014年07月03日 11時52分(最終更新 07月03日 13時43分)
政府の一部制裁解除を受け、北朝鮮は4日に特別調査委を設置し調査を開始する。菅義偉官房長官は3日の記者会見で、特別調査委の最初の調査結果の通報時期について「夏の終わりから秋の初めごろが望ましいという点で北朝鮮と認識は共有している」と述べた。
北朝鮮側がこれまで「8人死亡、4人未入国」としてきた12人の政府認定拉致被害者や、拉致の疑いが排除できない特定失踪者約860人の安否が焦点となる。北朝鮮による帰国事業で渡航した日本人配偶者や、第二次世界大戦前後に北朝鮮で亡くなった日本人の遺骨などの調査も並行して行われる。
拉致被害者を巡っては、北朝鮮は2004年にも警察機関の人民保安省(現・人民保安部)捜査担当局長を責任者とする調査委を設置して再調査を実施。だが、安否に関する情報は不十分で、北朝鮮側は「拉致は特殊機関が実施したため、調査に限界があった」と主張し進展しなかった。【福岡静哉、佐藤慶】
【ことば】国防委員会と国家安全保衛部
国防委員会は軍事や経済、外交など北朝鮮の政策全般を統括する最高軍事指導機関。憲法で「最高領導者」とされる第1委員長は金正恩第1書記が務める。国家安全保衛部は国防委に直属する秘密警察で、スパイや脱北者の摘発などを担当するほか、拉致被害者らの情報管理にも当たっているとされる。