純喫茶エピソード

@necoze @k_yoshiaki324 @cremaがお送りする、毎週日曜深夜に店じまい(配信)のまったりPodcast。
7月 21 '14

チャーハン攻略のための戦術

とても珍しい番外編をお届けします。

料理を偏愛している@cremaの夫が、今回の放送を聴いて、こんな記事を寄せてくれました……。この情熱が謎でたまりませんが、よろしければお読みくださいませ……(汗)。

<以下、crema夫の文章です>

妻が出演している番組において、チャーハン攻略の困難さが話題になっていた。そこで諸君らに、素人ながら私の得たその攻略法を徹底解説したいと思う。ぜひ以下の戦術を試し、その効果を報告してほしい。

チャーハン攻略に勝利するためは、次の二つの原則を死守することに尽きる。

1.調理中徹底して水分を排除すること。
2.長時間火を通しすぎないこと。

素人が失敗する原因は、これら原則の不徹底と、玄人の調理を無批判に真似することにある。これらの原因は、いずれも初見では常識と見えるかもしれないが、そう思ったものは以下を精読し、何が違っていたかを熟慮して欲しい。

まず最も重要なことは、白飯の硬さである。やわらかい白飯でチャーハンを作っても100%失敗する。しなびた野菜で野菜炒めを作っても美味くない。野菜炒めは、外側に火が通っているものの、芯には生野菜の歯ごたえが残っているからこそ美味いのであって、最初からしなびた野菜を使うのではうまく行くはずがないのと同様である。柔らかい白飯は雑炊に向いているから、そちらに使うべきである。最も有効なのは、チャーハン用に白飯を炊くことである。芯が残っているのは論外だが、そのまま食べるのは辛いほどの硬さが一番上手く行く。繰り返す。柔らかい白飯では100%失敗する。

次に大切なのは、具の水分を徹底的に排除することである。一番見過ごされているのは、卵の水分である。卵を皿に割ってよく見ると、卵白周辺に大量の水分が含まれているのが分かる。これはチャーハンを湿らせる原因になる。これに対処するには、最初に卵をある程度炒めてしまうのが有効である。卵は固まるときに水分を抱え込むので、一度炒めると水分が出てくるのを大幅に抑えることができる。卵はチャーハンの油っぽさを抑えるのに絶大な効果があるが、後から加えてもその特性を十分に発揮してくれる。

ここで失敗する多くの人は、テレビで玄人が溶き卵にすぐ白飯を加えているのを見て、そのまねをしている。玄人は強力な火力と技量で水分をすぐに飛ばせるからそうしているのである。火力も弱く、技量も足りない我々素人が同じまねをしても上手く行くはずはない。(なお、白飯に卵をまぶしたいわゆる黄金チャーハンは、素人にはかなりハードルが高い。ある程度上達してからにしないと、ほぼ間違いなく失敗する。)鉄のフライパンの場合、卵は最も状態の良い状態で炒めないとひどいことになるので、一番最初に炒めることになるだろう。テフロンの場合は自己判断で。炒めの程度だが、ふわふわが好きなものは余熱を考慮しておくこと。自分はここでかなりぽろぽろにしてしまう。炒めたら別皿に上げておく。

その他の具の水分も大敵である。特に悪質なのが冷凍の魚介類で、炒めると大量の水分を出す。汁は非常に味が濃いが、チャーハンにとって大敵であることは言うまでもない。野菜も水分を出しやすい。使う野菜を玉ねぎやにんじん等の水分の出にくいものにするのが有効である。水分の出やすいモヤシやレタスを入れたいなら、むしろ一番最後に投入してさっと火を通す程度にする。ハムは盲点である。市販のハム類には人為的に水分が加えられていることを知っている人は少ない。思っているより火を通したほうが良い。卵同様、これらも別に炒めて別皿に上げておく。水分を片方に寄せるため傾けておくのが良い。中華の場合、油通しをするのがこの段階に当たる。油こしに上げておくと、油だけでなく余分な水分も落ちるという技である。具は最後に戻すだけなので、この時点でほぼ10割まで火を通す。自分はみじん切りのねぎを最後に加えるが、これもキッチンペーパーに上げておくと水分が吸い取られて具合が良い。

で、ここでようやく白飯に火を通すのだが、玄人が最後に醤油を鍋肌から回して香りを付けているのを見て真似をしている人も多いと思う。当然なのだが、これも大敵である水分を加えることに他ならない。玄人は強力な火力と技量ですぐに水分を飛ばせるが、素人がこれを真似ても、折角ここまで上手く行っていたチャーハンを最後に駄目にする可能性が高い。これに対する対策は実に簡単で、白飯を入れる前に醤油を垂らし、ある程度水分を飛ばすことである。焦げ付きに注意すれば、よい香りだけを白飯に移すことができる。

ようやく白飯の炒めである。ここで多くの人がやってしまう失敗は、あせることである。理由は、しつこいがテレビでみた玄人の所作である。プロはスピードも極めて重要であるし、原則2.の通り、火の通しすぎは確実にチャーハンを不味くする。だが、繰り返しになるが、それも強力な火力と器量があってのこと、素人が真似をしても失敗を招くだけである。幸いチャーハンは、揚げ物程タイミングがシビアな料理ではない。自分は弱火にして少し別の料理に手を掛けることすらある。とにかく落ち着いて炒めるべし。ただし2.には気をつけるべし。

白飯がばらけたら、水分を切った具を戻して炒める。ここでは炒めるというより、混ぜ合わせるだけという気持ちでいるのがよい。どうせここでは混ぜるだけなのだと思えば、あせることもないだろう。炒めの際に全体を捏ね回すと白飯の粒をつぶすことになり、非常に不味くなる。よく言われるように切るように混ぜる。プロはここで煽るが、これは空気をいれてパラパラ感を出すとともに、捏ねないで炒めるテクニックでもある。

味付けや、胡椒、ゴマ油などの香り付けは最終段階である。レタスも入れるならこの段階。味付けは、何とかの素のようなエグイ混合調味剤は止めて欲しいが、まあ好きなよ
うに。慣れてきたら、白飯の代わりにチャーハン用に炊いた炊き込み飯を使うなどのテ
クニックにチャレンジするのも良いだろう。自分は塩の他にちょっとだけ味の素を使う。普段は極力排除だが、昔から馴染んだ「安い店の味」は逆に味の素を使わないと出ない。調味の際は、前もって加えた醤油の塩分の考慮を忘れないこと。いずれにせよ各自好きなように。

以上だ。徹底的に水分を排除する為には何をするべきかよく考慮すること、くれぐれも無批判にプロの作法の真似をすることだけはしないこと、以上を十分に銘記することが本戦略の要点である。諸君らの成功を祈る。

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