米兵レイプ被害の苦しみ 豪女性が自伝に

2014年7月16日 10:37
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 2002年に神奈川県で米海軍兵によるレイプ被害に遭ったオーストラリア人のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんが、英文の自伝「私はキャサリン・ジェーン」を出版した。日米両政府と闘い、被害者の権利保障と正義を求め続けた12年間をつづった。「この本を沖縄の被害者たちにささげたい」と話す。

 「レイプを乗り越えることはできない。あの体験と共に生きていく」。183ページの自伝に、ジェーンさんは記す。

 事件の夜に何があったか。被害を訴えた神奈川県警に約14時間足止めされ、治療も受けられないまま、現場で再現写真に収まるよう強要されたことも詳細に書いた。「犯罪者か、ごみのように扱われた」「ただただ、死にたかった」

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は深刻だった。「『レイプされたのはあいつだ』と空から矢印で指されているように感じた」「埋葬を待つだけの生けるしかばねだった」。3人の子どものため、自殺を思いとどまった。

 民事訴訟中にもかかわらず本国に帰った加害米兵を見つけ、米国で裁判を起こした。勝訴する過程で、「軍の命令で出国した」との米兵証言を引き出し、米軍が公平な裁きを妨害していたことも明らかにした。「12年かかって、やっと真実を明るみに出すことができた」と感慨を込めた。

 自伝は、事件後につけ始めた日記に基づく。ジェーンさんは「誰にも打ち明けられない苦しみを日記に書いてきた」という。「自伝は私の物語であり、沖縄で被害に遭ってきた多くの女性の物語でもある。米軍と日本政府が何をしているか、世界中の人に知ってほしい」と願った。

 自伝はオーストラリアの出版社が刊行し、電子書籍版もある。邦訳は未定。

 
 

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